がらんどうの弾丸【喉元にカッターお題配布bot】
    お前が撃ち抜けるものはせいぜいこのくだらない脳天だけだ、と嘲笑う男に無性に腹が立った。例えこの肉体が死んだとて、俺の希望は志はそんな空っぽの屑鉄などに砕けはしない、と自信に満ちた顔をぶん殴る。可哀想に狗は狗のままだ、お前にゃ何もありゃしない、だと?そんなものは要らないから持たないだけだ。


    閃ミツ【二週間分の愛】
    お帰り、と久し振りに聞く低音が、抱き締められた耳元に落ちる。いつもの温もり、いつもの煙草の匂い。ほんの二週間離れていただけなのに、酷く安堵した。ぎゅ、と背中に腕を回してただいま、と告げるや否や、優しいキスで塞がれる口唇。後で足りない分貰うから、と笑う悪い顔が何だか愛おしく思えた。


    閃ミツ(寂しがりやで、意地っ張り)
    ねえねえ、私がいなくなったら寂しい? と戯れに問えば、傍らの彼は手にした書類から視線も上げずに、別にと返事を寄越す。先程から何度かちょっかいを出したのを怒っているのか、急ぎの仕事があるならば、今日逢えるなどと言わなければいいのに。帰ろう、と溜息をついて立ち上がる。玄関で靴を履いていると、慌てた足音が追いかけて来て背後から抱き竦められた。「お前がいなくなったら、寂しいどころじゃねえ死ぬ」だからあと少し待ってろと、素直じゃないその頬にそっとキスした。


    閃ミツ【優しさならほんの1%でいいから。】
    もう逢えない、と言う電話は唐突だった。ざあざあと受話器の向こうの雨がうるさい。いつかはそう告げられるのではないか、と予感していたとは言え、理由くらい訊いても許されるだろうか。「……愛してっから」くぐもった返事とジッポーの鳴る音。「だからもう忘れろ」なんて優しい声で言わないで。


    創作お題「れもんのきもち」bot【三題噺用お題】深海、ビル街、不変
    ここは変わらないね、白み始めた空を眺めながら君は笑った。
    ゆっくりと明けて黄金色を帯びて行く雲、オフィスが建ち並ぶ街は僕たち以外の人影もなく、今はまだ浅い夢の中で微睡んでいるかのようだ。眠らない怪物の血脈は、深海のような静けさのこの時間、ほんの一刻だけ止まる。埃塗れの排気ガスに烟る空気が、少しだけきれいに見えるのだ。
    思い切り呼吸がしたくなって、煙草に火をつけ吸い込んだ。この街ではこんなものを介さなければ息も出来ない。
    君は変わったね、と言う言葉は飲み込んだ。眩しそうに目を細めて、同じように煙草をくわえる顔はあの日と同じだったから。君がこの街を捨てて出て行ったあの日と。
    結局どこに行こうと、僕も君ももがいて溺れる無様な魚でしかないのだろう。
    朽ち果てて行く毎日に、緩やかに死に向かう日常に、望むべくもなく戻り、今日もまた電車に揺られ、いつか喰い散らかされるまで。


    ワンフレーズお題bot【「彼女はきっとキレイな花を咲かすんだろうね」】
    弾丸はいつも一発しか使わない。
    かける金がないほど困っている訳ではないが、現場に残すものは少なければ少ない方がいい。いつしか『ワンショット』が呼び名になった。
    今日の目標は歌姫だ。貴族に召し上げられたから、とフラレた男からの依頼だった。
    馬鹿馬鹿しい。殺すくらいなら奪い去ればよかろうに。
    生前の美醜など何の意味があるか。死んでしまえば、それはただ血と肉と骨の塊でしかない。そんなものを愛しいとか憎いだとか、相変わらずよく解らないものに他人は振り回されている。
    弾丸を込め、装填。
    スコープ越しに照準を合わせ、狙いを定める。風、なし。遮蔽物、なし。視界は良好、問題ない。
    男だろうと女だろうと老人だろうと赤ん坊だろうと、散り際に咲かす花は等しくキレイなもんさ。


    ちゃんと狙えよ、とずれた照準を合わせ直して彼は笑った。「一発で仕留めてくれ、最期の情けだ」なんて笑わないで。貴方が教えてくれた術で貴方を葬るなんて、そんな皮肉があるものか。ああけれど、それでも貴方が人として死ぬためには、他に方法がない。せめて送る時は笑顔で「愛してます」 #SS #お題
    雨宮 李音@創作お題bot@rion_amamiya
    向けられた銃口にそっと触る


    見上げればあの日と同じ抜けるほど高い青空と大きな雲。
    遠い蝉時雨、西瓜を冷やす氷の溶ける音、風鈴を揺らす扇風機に向かって「あああ」と叫んだ午後。
    眩しい陽射しがじりじりとアスファルトを焦がし、蜻蛉の翅に反射する。線香の匂いと墓石の君の名。
    #夏という言葉を使わずに夏を一人一個表現する


    貴方に触れたい、なんて想いに気づいた訳でもなかろうに、一瞬伸ばしかけ引っ込めた手の気配を察したのか、貴方は視線も寄越さず私を奪った。重なる指先から燃え上がりそうなほどの熱が伝わる。「相変わらず冷たい」と笑う声が、
    #これを見た文字書きさんも繋ぐ絡めるという言葉を使わず手を繋げさせる


    騙したなんて人聞きの悪い。俺たちの生きるこのくそったれな世界では、信じた奴が馬鹿を見る。裏切ったんじゃない、乗り換えただけさ。いつまで子供の頃みたいなおとぎ話を夢見てんだ。生きたいなら、勝ちたいなら、他人を蹴り落とせ。他人のために切る指なんざ、最初から持ち合わせてない。 #SS #お題
    狸塚(お題bot)@mamizuka914
    約束は守られないのが普通だろ


    お前はここで死んだ、俺が殺した。焦げた硝煙を棚引かせる銃口を下げながら、彼はそう言った。爪先数センチの位置に穿たれた鉛の弾は、本当なら私の心臓を貫くはずだったのに。行けよ、そして二度と戻るな。せめてもの恩返しだ。笑う彼にさよならは言えなかった。滲む朝日を背にして駆ける。 #SS #お題
    無音(お題bot)@nothing_glass
    空に響いた空砲の残響


    らしくもないピアス穴を見つけて、思わずもう着けないのかと問うた。真面目一辺倒だと思っていたお前が、昔はやんちゃしてたかもなんてちょっと笑える。塞がりかけた左耳に触れようとした手を払われ、思わず息を飲んだ。そんな資格もうないんで、と返す知らない顔のお前が何だかひどく遠い。 #SS #お題
    眼福(お題bot)@ganpuku_odaibot
    片耳だけのピアス穴


    飼われることは安寧だ。寒さに震えることもなく、飢えに怯えることもなく、誰かの所有物だと言うことは、必要とされていると言う安い優越感を擽りさえする。下らない自由や矜持だとかのために、膝を折ることを拒む奴は愚かなのだ。寄る辺なく生きられるほど我々は強くない。だから貴方の手で #SS #お題
    お題bot@烏合@bot_crowd
    首輪を付けてくれないか


    まじまじ見ると節張った指が長いとか、ああその煙草をくわえる口唇でキスしてくれるのだとか、その仕草の一つ一つに思わず目を奪われて、つい溜息をこぼしてしまう。横を向いたまま視線だけ寄越して、何見てんのと見透かした顔で笑うのすら絵になるなんて、私ばかり好きみたいで何かズルい。 #SS #お題
    君が欲しい@お題bot@taki_checha
    君の煙草を持つ手に、横顔に、
    格好良いと思う私はもう末期。


    私はとても幸せです。唯一私の秘密を知る貴方が『偶然の事故』で死んだと聞いて、嬉しさで涙が止まらず現場に花束を捧げて来ました。だってこれで、この世でそれを知る人間はもう誰もいない。暴かれることを恐れ悪夢にうなされることも、常に背後を気にしてびくびくする必要もないのだから。 #SS #お題
    創作お題bot@sousaku_odaibot
    死体にくちなしの花を


    傍にいて、なんてもう我儘は言わない。優しさもいらない。愛してるだとか好きだとか、ウソで塗り固めた言葉が欲しかった訳じゃない。誰かと同じキスも、たくさんのプレゼントも意味なんてないの。あたしはただ、他でもない貴方の声で #SS #お題
    孤独症候群@お題bot@s___syndrome
    ただ、名前を呼んで欲しかった。 #お題


    罪滅ぼしでもしているつもりか、なんて笑わせてくれる。俺はいつだってテメーの業の深さを忘れた日なんかありゃしねえ。守れなかったもの奪って来たものの恨みに全身塗れてやがる。地獄に堕ちる覚悟だ? ここより下があるならお目にかかりてえ。ろくな死に方しねえのは百も承知の上だがな。 #SS #お題
    都忘れ(お題bot)@azumakiku
    (どこかの悪役)「その掌から零れた奴らは、積み重なって手前の足を掴んでいるのを知ってるか」


    この世界で一番辛いのは、戻る貴方の背中を見送ることだって、悔しいから教えてあげない。気づかれないようにシャワーを浴びて、上着を羽織る衣擦れの音を聞かないように、寝たふりするのもしんどいのよ。でも「また来る」とあたしの髪を撫でる瞬間だけは、確かに貴方はあたしのものだから。 #SS #お題
    夕に散る@お題bot@odai_yuu
    名残惜しそうな指先の熱に、火傷しそうだった


    三年経ってもまだ、貴方のいない左隣に慣れない。
    #切なさを切ないという言葉を使わずに詩的・抽象的に表す


    「ははっ、愉しいねぇ」舌なめずりをしながら思わず笑いが溢れる。目の前の男は間違いなく強い。本能で理解する、こいつも私と同じだ。ここでしか生きられない。命のやり取りの中でしか生きられない、獣だ。つ、と切っ先が誘うように下がる。斬るか、斬られるか。解りやすくて実に私好みだ。 #SS #お題
    卵生お題bot@ransyou_tmg
    己がままであれその獣性を手放すことなかれたとえ人でなしであろうとも


    深夜ラジオが別れを告げる午前二時、屋上給水タンクの上に寝転んでも、今日も今日とて星は見えない。
    明日は晴れるでしょうなんて、多分嘘だ。雨の匂いはしないけど、ちりちりとクセの強い髪がうねる気配がしているから。
    煙草をくわえて火をつける。
    街の灯りは遠い夜の住宅街。 #SS #お題
    時折瞬く街灯以外は静かなもので、昼間の喧騒はどこへ消えたのか、海の底に沈んでいるような気分だ。
    ざわ、と生ぬるい風。
    そろそろ現れる頃か。ゆっくりと身体を起こして空を見上げる。ホタルのように、とはいかないものの、吸い込んだ紫煙にじじっ、と灰が身動ぎして赤く爆ぜた。
    それにつられるように空気が揺らぐ。
    細めた視界の端を大きな影が過ぎった。
    来た。鯨だ。
    随分距離があるはずなのに、悠々と泳ぐその尾の動きもはっきりと見えるのは、その巨大な身体がほんのりと光を帯びているからだ。
    波の音も空気の弾ける気配もしないのに、低い鳴き声が空気を震わせる。
    彼らは歌を歌う、と言ったのは誰だったっけ。
    けれど息をするのもしんどいこの世界で、僕の言葉に出来ない叫びに応えてくれたのは、ただ彼だけだった。
    メーデー、メーデー、助けてください。
    誰か聞こえませんか、誰か聞こえませんか。
    残響クリミナル
    ああ、僕を返してくれ。


    これでよかったんだ。他に方法はなかった。誰に向かって言い訳しているのだか、確認めいた言葉だけが何度も胸に響く。後悔している、つもりはないのに、まだあの男の命を奪った感触が掌に生々しく刻まれているのだ。それもいつか薄れて消えてしまうだろう。今までそうだったように。それが少し、怖い。
    Snow Drop@タスクあとはロゼンス誕だけ
    @323snow
    #イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる 


    「さて……さくっと終わらせますか」「……足引っ張るなよ」「誰がいつどの足引っ張ったよ! それともアレか、長いですアピールか!?」「まあ、長いのは否定しないよ」軽口を叩く余裕を持てるのは、隣にお前が立っているから、なんてことは死んでも言ってやらないけれど。背中くらいは預けてやるか。
    七ツ枝 葉@原稿に集中だ!
    @7branchleaves
    #イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる


    君を黙らせる唯一の方法
    #キスシーンを14字で書く
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