行って来いよ、と送り出した背中は振り向かない。足を止めない。きっと今すぐその袖を引いてやっぱり行くなと引き留めたら、彼は二度と俺の傍を離れやしないんだろう。でも、例えもう生きて逢える保証がなくともその凛と前を向く姿に惚れたのだ。だから行け。お前の帰る場所を守るのが俺の役目だから。
    赤薔薇お題bot@akabarabot「待ってるから帰ってきて」


    にゃあ、と声を上げられるまでそこに猫がいたことに微塵も気づかなかった。路地裏の物陰ーーその闇が具現化したような毛並み。血の臭いに釣られたのかこちらへ近づいて来る。見られた。幕吏に天誅を下すその瞬間を。たかが物言わぬ獣一匹気にする必要はあるまいと思いつつ身体が自然と白刃を抜き放つ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「人斬りと猫」


    それを持って退くならばわしが斬りますぞ、主。そう背後で鯉口を切られ今にも踵を返しそうだった僕の足は嫌が応にも踏み留まった。そんなことを言われても僕は闘い方なんて知らない。刀の扱いなんて知らない。けれど見据える眼差しは鋭くて「斬り死にしても已む無し。好きな方を選びなされ」だなんて、
    和風創作お題bot@wafuu_bot「刀の名が泣きまする。」


    どこかで君の泣いている声がする。どうしたの?どこか痛いの?心配で堪らなくて今すぐにだってこの夜空を駆けて飛んで行きたいのに、この偽物の鋼の翼は動きやしない。この偽物の鉄の身体は動きやしない。ああ、お月さまどうか人でなくとも構わない。せめて動けてあの子の涙を拭える何かになれたなら。


    不意に立ち上った土臭い雨の香にこりゃあ降るなと天を仰いだ。山の天気は変わりやすい。今朝方は何ともなかったのに、と足を早めたものの持たずに空が泣き出した。慌てて裾を絡げて走っていると廃神社らしき影が見えた。「ちょっと雨宿りさせておくんな」と怖い顔でこちらを見下ろす狛犬に手を合わす。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「雨の香 裾を絡げる 狛犬」


    例えこの身朽ち果て取るべき刀が刃こぼれ錆びていようとも、幾年幾星霜吹雪の中息を潜めるような苦行を強いられようとも、主よ貴方が我が名を呼ぶ声聴こえたならば、時を越え海を渡ろうとも必ずや駆けつけます。そう交わした魂の契り、私めは忘れておりませぬ。劣勢上等、貴方の恩義に報いるためならば
    和風創作お題bot@wafuu_bot「今再び、馳せ参じましょうぞ。」


    口では何とでも言える。耳障りのいい大言壮語の綺麗事を並べ立ててりゃ誰もが大したもんだとテメーを褒め称えるだろう。だがそんな薄っぺらいもんに俺ぁ興味がねえ。なあおい、その熱量が本物ならばその想いが本物ならばごちゃごちゃ語ってねえで刀を取れ。さあ、早くその足で立って世界に喧嘩売れよ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「志とは、如何程か。」


    頼めるか、と言われた時は心臓が凍りついた気がした。実際呼吸するのは忘れていただろう。何故貴方が無実の罪を負って腹を斬らねばならない。何故俺がその介錯をせねばならない。けれど兄と慕った貴方の最期を汚さぬよう見苦しい真似はよそう。ああ、友よ。かけがえのない存在ならばこそこの手で
    和風創作お題bot@wafuu_bot「一刀のもとに切り捨てて差し上げよう」


    しゃくしゃくと半ば溶けたかき氷を君がつつく度に軽やかな音がする。好きじゃなかったはずだ、こんな甘ったるいだけの水の塊なんて。なのにいつも君が汗だくで氷を削ってシロップに練乳までかけて美味そうに頬張るものだから。こちらの視線に赤く染まった舌をペロリと覗かせて「ほら、あーんしてみ?」


    知り得たことをべらべらと得意気に吹聴して回るのは無粋だとおっかさんに習わなかったかぃ? 秘するが花、口は災いの元、だからこうして命を捨てるはめになる。何も知らない方がいいのさ、この世は知らずにいた方が幸せなことがごまんとある。薄闇に吐いた煙管の紫煙が全て覆い隠すようにね。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「煙管 薄闇 秘するが花」


    まるで蛾のようだねぃ、と眼下を見ながら男は笑う。派手な音と共に夜空に咲く花を見ず、それを見上げる人々を眺めているのは彼くらいなものだ。傾けた盃の中身を嘗めるように双眸を細めながら、どうせならあの中に咲けば綺麗なのに、と嘯く台詞があながち冗談ではないから性質が悪い。


    カタカタと映写機の回る音。光の粒子と共に吐き出されるのは、古い古いモノクロームの物語。CGだの何だのの技術が賛美される昨今では、他の誰の目にも止められないそれを毎夜彼はひっそりと観に来る。かつて銀幕なんて呼ばれていた頃の今は亡き愛した人と一方的な再会をするために。二十五時の逢瀬。
    創作お題bot@sousakuODAI「二十五時の映画館 #創作 #お題」


    #物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こう
    けたたましくがなるやかんから熱湯を注ぐ。湯気と共に立ち上る麺の匂いが嫌いだ。いざ口に運ぶまで三分待たせられるのも。だからいつもほんの少しだけお湯を早めに捨てる。ソースと青海苔ぶちまけてかき混ぜて。そうだ、マヨはあったっけ?
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