憎しみをもって哀しみをもって怨みをもって怒りをもって、刀を手にしてはならない。彼らは所詮血に飢えた魔の領域に生きる物。道理をもって真義をもって慎重に扱わねばならぬ。年寄りの戯言と嗤いたければ嗤うがいいさ。道を誤り人から外れ修羅と呼ばれ畜生に堕ちた故に、同じ馬鹿の背中は見てられぬ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「魔に魅入られるぞ。」


    誰彼構わず噛みつくのは結構だが相手に反撃のための爪牙がないかくらいは確認しておくべきだね、と初めて俺をオトした男に嗤われて何の因果か飼われる羽目になった。それからずっと隙を探しているがなかなか上手く行かない。まあ、落ち着け。長い『待て』を耐えた後に喰らいつく餌の方が遥かに美味い。
    創作お題bot@sousakuODAI「狂犬の纏い得た理性 #創作 #お題」


    お前を誰にも渡しとうない。いとしい片割れの目元を縁取る紅にそっと口唇を寄せて囁くと困ったように視線が伏せられた。解っているとも、こうして身の程知らずにも触れ合えるだけで満足すべきだと。ああ、三日月しか二人を見ていないならば例え地獄に落ちねどもいっそお前をここから拐って逃げようか。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「三日月 いとし 目元の紅」


    全てを捨てる覚悟はあるか、と問えばお前は一も二もなく頷いた。これ以上の地獄はありんせん、貴方とならばどこまでも。焔宿したその眼に惚れた妓だ。足抜けならば闇夜を選べばいいものをと雇い船頭に嗤われたが何の、これをさもしい道など歩かせられぬ。花月夜眩しい黄泉への旅路二人推して参ろうぞ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「花月夜 焔 足抜け」


    出ておいで、隠れてばかりじゃつまらない。勝ち誇った声を上げる狼さん。さっきまで聞こえていた悲鳴はもうない。だけど忘れてないか愚鈍な獣よ。僕たち山羊にはお前のような爪も牙もない。けれどそれに負けぬ角があることを。隠しておいたショットガンを組み立て装填。さあ、大逆転の狩りの始まりだ。
    創作お題bot@sousakuODAI「ぐしゃり。(そうそれは間違えようも無く何かが噛み砕かれた。) #創作 #お題」


    さあ、これをお食べ。貴方から差し出されたそれが何なのかあたし本当は解ってた。口にしたらきっと今までにはあの人のところには戻れなくなるって。でも知らないままでいたくなかった。貴方と同じ世界を観てみたい想いが恐怖に勝った。ほんの一歩踏み出したそこは、滴る血の熱さと赤さを自覚する悪徳の
    創作お題bot@sousakuODAI「悪徳の林檎 #創作 #お題」


    仕える主人などとうの昔に失くしておるくせに、まだこんなところをうろうろとさ迷っておったのか。己の不甲斐なさ故に大事なものを守れなんだ役立たずが、何故まだ刀を握っている。何故まだ何かを守ろうとする。殺した主人の身代わりか。その愚かさ変わらぬな…いっそこの手で息の根止めてくれようぞ
    和風創作お題bot@wafuu_bot「哀れなりや、その生き様。」


    その目に他の誰かを映して欲しくない。その耳で他の誰かの言葉を聞いて欲しくない。その口で他の誰かを語って欲しくない。その手を他の誰かに差し出して欲しくない。その足で他の誰かを訪ねて欲しくない。君の全部が欲しいんだよ。細胞一欠片すら誰かに譲ってやる気はない。愛しさ故に君の全てを奪う
    創作お題bot@sousakuODAI「僕の愛は常に殺意と共存している #創作 #お題」


    そう言えば十年後またここで一緒に花火観ようねとお前と約束したっけ。すっかり汗をかいて温くなった缶ビールを煽りながら遠く響く音に耳を傾ける。それを先に違えたのはお前。なあ、そっちの空でも花火は見えるのか。あの日息を飲むほど綺麗だったはずの夜空が色褪せて見えるのはビルのせいじゃない。


    春が来たら、きっとこの地は敵旗に染まる。麗らかな風は生命の息吹ではなく死と戦の気配を運んで来るだろう。もう残された時間はない。だから今の内に早く故郷へお帰り。こんな最果ての地まで死に逝く理由を探してさ迷って来た馬鹿な男など忘れてお前より矜持を選んだ男のことなど忘れてどうか幸せに。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「雪の解けぬ間に、さあ。」


    お待ちどうさま、と目の前に並べられた朝ご飯。私が朝はそれしか食べないと告げた #もう随分も昔から 変わらない献立は今日もほこほこと食欲をそそる匂いと湯気を立ち上らせている。最初は食べられたものではなかったが今となってはそれも懐かしい。君が歩み寄って共に過ごしてくれた十年の重みだ。


    今にも崩れ落ち砕けて儚くなりそうなお前の肩を抱き寄せようと伸ばした手をしばしの逡巡の後結局下ろした。こんな血に汚れた手ではこんな罪に塗れた手ではお前の絶望を雪いでやることなど到底出来ぬ。守り慈しむことなど出来ぬ。代わりに落とした剣を拾ってその手に握らせ、「立て、まだ終わってねえ
    創作お題bot@sousakuODAI「触れたくて抱き締めたくてそれなのに #創作 #お題」


    貴方は絶対に私の前では痛いだとかしんどいだとか辛いだとかを口にしない。今日もこんなに酷い傷を負ったのに黙って堪えている。今まで一体何度そうして私を守ってくれたのか。包帯塗れの広く大きな背中をかき抱くと驚いたように小さく息を飲む音。いつもありがとう。でも無茶はしないで。 #ハグの日


    これでは何も変わらないではないかと救ったはずの世界で貴方は絶望している。確かに人類を脅かす魔物は貴方のおかげで遠い異界に消え去った。けれど平和が訪れたのはほんの束の間、人類は互いにいがみ合い敵対する道を選び世界は再び争いの炎に満ちた。そう、何も変わらない。皆が平和を願いながらも。
    創作お題bot@sousakuODAI「慟哭した勇者 #創作 #お題」


    正義のためだとそんな大義名分を掲げずともよい。一言邪魔だから斬れと告げられてもわしは躊躇なくその名も知らぬ男を屠るだろう。野良犬だったわしを拾うてくれた恩義に報いるためならば、ただ剣を使うしか能がないわしをそれでも必要だと言うてくれるなら、代わりに血に塗れるくらい何だと言うのだ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「ぬしの為なら、鬼となろう夜叉となろう。」


    出陣する、と沈思黙考の挙げ句隊長がそう決断を下したのは吹雪がようやく収まろうかと勢いを緩めた昼前だった。外はまだ薄暗く風が吹き荒れ哭く音が窓を揺らしている。雪は止んだが危険なことに変わりはない。が、誰もが待ち望んだその言葉に歓喜の声を上げて準備のために席を立つ。さあ、反撃開始だ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「吹雪 出陣 沈思黙考」


    そうやって腐って行くのが似合いだと嗤われても仕方ない。あの日私の身体は運良く生き残ったが魂は貴方と共に死んでしまった。何の感慨もなく肉体が滅ぶまで惰性で生を紡いで行くものになってしまった。貴方がいない世界はこんなにも灰色で無味無臭で面白くない。冷たく渇いたこの脱け殻を引きずって、
    創作お題bot@sousakuODAI「生きているのに死んでいるモノ #創作 #お題」


    それはまるで侵入を阻む見えない蜘蛛の罠のように日常のあちこちに縦横無尽張り巡らされている。多分どれもきっかけはほんの僅かの些末、取るに足らないありふれた何でもないものなのだろう。けれどその一線を一歩でも越えてしまえばもうそれまでには戻れない。友の胸にナイフを突き立てた僕のように。
    創作お題bot@sousakuODAI「絶望の境界線 #創作 #お題」


    OK行こうか相棒よ。背中を叩くとぶるり躰を振るわせて低い唸り声が上がる。腹の底に響く咆哮と共に熱い風を切り裂いて。宛などない。けれどお前とならどこにでも行ける気がした。あれから十五年、年老いた鋼鉄の獣はもうあんなに雄々しくはないけれど今日は久々海まで行ってみないか。 #バイクの日


    十七字に想いを乗せるなんて私には到底出来ない。だって貴方への気持ちはそんなものじゃ全然足りない。散々迷った挙げ句何度も書き直した紙を丸めて投げ捨て、私は外へ飛び出す。いつもこの時間この道を通る貴方へようやく声をかけ、けれど出て来たのは「好きです!」のたった四文字だけ。 #俳句の日


    君のことを知る者はこれで僕一人だけだ。燃え盛る炎の中、気怠げにそう嗤ったのは玉座に座る一人の男。回りには血塗れで転がる死体の山。こうでもしないと手に入らない、なんて笑わせないで。兄とも慕っていた。信じて背中を預けていた。その全てを裏切って、そうね確かに誰もいなくなってしまったわ。
    白黒アイロニ(お題bot)@odai_bot01「もう誰もいなくなってしまったよ」


    何度となく聞こえたそれは、決まって真夜中俺が深く寝入った辺りに聞こえて来る。ひっそりと息を殺して忍び寄るように。じっと凍えた眼差しを投げかけた後、まるでまだ駄目だと首を振るように遠ざかる。或いは死地にあって深手を負った時なども。未だその手を肩にかけられていないのは幸せなのか否か。
    創作お題bot@sousakuODAI「今思えば、あれは死神の足音だったのか #創作 #お題」


    天才、と言う称号は何よりも重い呪いのような枷だった。この心を縛る鎖だった。己を守るために術が必要だった。金を得るために手段が必要だった。後悔など罪悪感など抱えている暇はなかった。ひたすら目の前の敵を敵だと思わねばならぬものを斬って斬って斬ってーーもしあの時なんて悔やむだけ無駄だ。
    創作お題bot@sousakuODAI
    「君にはわからないだろう、十で剣を持った僕の気持ちなんて。 #創作 #お題」


    随分高くついたねと首だけになって己の足元に転がる元主を、冷めた目で見ながら彼は笑った。知るべきことを知ろうとしなかったーー確かに国を背負って立つならば、いかな幼い歳であろうと彼女は民の現実を知るべきであった。もっとも知りすぎたからと言う理由で、彼に消された者も腐るほどいるけれど。
    創作お題bot@sousakuODAI「無知の代償 #創作 #お題」


    こんなにも貴方と言う存在は僅かになってしまうものなのか。両手で一すくいほどの遺灰は思うより白っぽくさらさらとしていて、かつて世界を恐怖のどん底に陥れた面影は欠片も感じなかった。口を近付け一噛み、しゃりと貴方の残滓を含んで嚥下する。残りは風に散らして、これでようやく貴方は私のもの。
    創作お題bot@sousakuODAI「遺灰 #創作 #お題」


    気付かないとでも思ってたのか。いつからか時折注がれるその視線の熱を。なあ、おいこっち向けよ。ぐい、と肩を掴めば弾かれたように駆け出す背中。その耳が赤く染まっているのを見逃しはしない。腹ぁ括れよ。認めちまえ。舌なめずりをしてゆっくり追いかける。逃げられたら追いたくなるのが男の性だ。


    我ながら損な性分だなと刀の目釘を確かめながら自嘲気味に笑う。刃こぼれはなし、弾丸は幾つ残っていたか。先に行かせた仲間はどのくらい先まで逃げたろう?斥候が戻らぬからと痺れを切らした本体が攻めて来るまでの時間は?昔の血が騒ぐ。せめての罪滅ぼしにお前らのため散る最期に躊躇なんかねえさ。
    創作お題bot@sousakuODAI「選択肢はひとつきり、先への道はひとつも無い #創作 #お題」


    いつの間にかまた増えた賞金額に軽く口笛を吹きながら、自分の顔が描かれた手配書を丸めて投げ捨てた。十億たぁ豪気なもんだ。でももう少しイケメンに描いてくれて良くね?出頭したら俺が貰えるんだろうかと考えながら抜き手も見せずに背後の男へぶっ放す。せめて名乗るくらい許してやれば良かったか?
    伽藍お題bot@garanbot「その首にゼロを九つ」


    姐さんご無事ですかぃ、と派手な返り血塗れの顔で振り返る男に精一杯の笑みを浮かべる。この通りでありんすと答えた声は震えていまいか。彼はほっと安堵の息を吐いて替えの提灯に火を入れる。道中、何を想って命懸けで護り通し他の男の元へ案内するのか。その背に手を伸ばしたい衝動を堪え顔を上げる。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「花魁と用心棒」


    仕事の胸糞の悪さにいつもより深酒して明け方近くに戻り、そのまま倒れ込むようにベッドへ潜り込んだ。ああ風呂に入らなきゃ、頭では解っているのに身体は鉛を詰め込まれたように重い。頬に触れる冷ややかな指先に目を開けて細い身体を抱き寄せる。お帰り、と耳元囁く声だけが僅かな時間俺を満たした。
    創作お題bot@sousakuODAI「犯罪よりも咎よりも、怖いのは君に拒否されること #創作 #お題」


    ん、と放した口唇を舌でなぞりこちらを見遣る眼差しは捕食者の獰猛さを隠しもしない。踵を返したその手に握る刀、当然俺が着いて来ると信じて疑いもしない背中の無防備さに呆れて溜息をこぼす。この関係に名前をつけるのも面倒なまま、けれどお前にとって俺がそうであるように俺にとってお前もまた、
    伽藍お題bot@garanbot
    「君との間にあるものは、仲間意識でも友情でも、ましてや愛などでは決してなかった」
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