必要なのは対象物を徹底的に破壊し、どんな攻撃にも屈しない頑健な肉体? それとも捜査を欺き裏をかき、その手を掻い潜るクレバーな頭脳? いいや、違うね。何にも揺るがないイカれた価値観、技術も倫理も超えたサイコでクレイジーな自らを是とする精神だ。
    #これから書く作品の台詞を晒す


    三味線の音が夜闇を振るわせ、よく通る声が戯れ言を紡ぐ。何度そうして口説いたとて、どうせ貴方は月と共にこの部屋を去るのでしょう。甘い睦言を信じて待つほど初心な盛りは過ぎました。注ぐ酒に本音の毒も混ぜられず、どうせならいっそ二度と貴方の消える朝など来ぬよう太陽を落としてくだしゃんせ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「三千世界の鴉を殺し」


    両の耳を塞ぐようにして落とされたキスに思わずびくりと身体が跳ねる。鼓膜の奥深くまでに刻むような、貴方の舌が僕を犯す、音。ねえ、やめて。お願い。そんなにされたらきっと僕は、貴方なしでは生きられなくなる。縋るように息を継げば、笑いながら下った口唇は虫除けのマーキングだよと首筋を啄む。
    お題bot*@0daib0t「鼓膜、犯す、マーキング」


    ただ震えて見ていることしか出来なかった。かけがえのないものがこれ以上ないほど残酷に壊されていると言うのに。未だ私の心を占めてやまない悪夢の夜。無力のままではいられない。魂に刻んだ誓いと共に手にした刃をゆっくりと握り直す。大丈夫。胸の中あの日の私が頷いた。いざ、憎き仇を討ちにーー
    創作お題bot@sousakuODAI「予告状(十年後の今日この日、私は貴方を殺します) #創作 #お題」


    一体どのくらいそうしていたのか、君は唐突に顔を上げるとごめんと僕の腕からすり抜けた。その表情は既に自分の中で諸々決着させたすっきりした顔で僕の入る隙間などもう一ミリだって残っちゃいない。寧ろ君に触れていたのがまるで白昼夢か妄想のようでいたたまれずそっと残された涙の跡を握り締める。
    『一人遊び。』お題bot@hitoriasobi_bot「濡れた肩だけが、君を抱き締めた証拠。」


    小さくて童顔で、歳を経てからは皆に羨ましがられるけど、良かったと思ったことなんて一度もない。不便なことは多いし、よく警官に呼び止められるし、何より後輩に馬鹿にされている。今もお説教中にも関わらず、ハイハイと頭を撫でられいなされて、思わず叫べば「気づけ鈍ちん」なんてデコピンされた。
    伽藍お題bot@garanbot「年上ですので、敬ってください」


    呆れるほどの愚策は無鉄砲を通り越して無謀と言うのだ。得意気に笑う隣の馬鹿にそう告げると彼はしょげるどころかその眼差しに不敵さを上乗せして来た。「だって俺とお前が組むんだぜ?余裕っしょ」信頼と言うには余りにも薄っぺらな確信。だがそう言われては是が非でも成功させねば俺の沽券に関わる。
    伽藍お題bot@garanbot「大丈夫などと無茶を言う」


    謹んで承ります、と彼女が血に濡れた王冠をその頭に戴くのを見届け、満足そうな笑みと共に王は逝った。余韻に浸る間もなく涙を拭い、彼女はばさりと外套を翻して踵を返す。勝ち目などない。それでも最後まで正しくあらんとする背は確かに王の威厳を帯びていた。「貴方の命を私に頂戴」「御意のままに」
    伽藍お題bot@garanbot「痛いくらいに美しい」


    ああ、お前が敵でなくて良かったと戦線に立つ度つくづく思う。一度刀を抜けば血雨が大地を汚し、喧しい銃の咆哮が人間だったものを瞬きの間に肉塊へ変える。鼻をつく硝煙と悲鳴の乱舞、そのただ中に佇むお前はいつも楽しげに狂喜に満ちた笑みを浮かべる。その隣に立つと人ではなくなってしまいそうで。
    『一人遊び。』お題bot@hitoriasobi_bot「二足歩行の獣。」


    一つ、あたしの許可なく傍を放れないこと。二つ、あたしの許可なく気安く触らないで。三つ、あたしの許可なく他の誰かに殺されたら許さない。四年前、そう言ったあたしに貴方は黙って膝をついた。あの日気紛れに命を拾った、それだけの理由で。指先一つで容易く相手に風穴開ける悪い大人のクセに。
    『一人遊び。』お題bot@hitoriasobi_bot「悪いおとなの飼い方。」


    貴方はいつも乱暴なのよ、と憤慨するお前が俺の頬をひっぱたいたのはカウントしないのか。やり直しなんて言われたところで元々壊しそうでおっかなびっくり触ってるこっちからすれば、それはもう続きを禁止されたに等しい。馬鹿ね、こうするの。ゆっくりと重なる口唇、髪を乱す華奢な手はまだ慣れない。
    伽藍お題bot@garanbot「愛し方も愛され方も習ってないもので」


    舌先だけなら童でも立派な口上述べられよう。我らが信じるは耳障りのいい美辞麗句にあらず、義に値し誠の心粋ぞ。主も天下国家を語る勇士なら、我らに示す魂があろう。信じる道理が貫く忠があるだろう。主の覚悟が如何なるものか、そこに殉ずる覚悟があるか、その刀をもって我らの前に示してみせよ。
    和風創作お題bot@wafuu_bot「志とは、如何程か。」


    理由、なんて大したものがある訳じゃない。本当は別に何でもよかったんだ。君がその目で僕を見据えて、僕の一挙手一投足を気にかけて、僕の言葉を一つ残らず胸に刻み、昼も夜も寝ても覚めても僕のことだけ考えて頭を一杯にしていてくれれば。汚名も罪悪も安いもんさ。仇である内は追って貰えるからね。
    伽藍お題bot@garanbot「許さないでいて」


    あの日届いた貴方からの「好きでした」ただ一文だけのメール。ぶっきらぼうで口下手で自分の気持ちなんて何一つ覗かせなかった貴方がくれた最期の言葉。嬉しくて、でも何と返せばいいか解らなくて「Re:」は下書きに残ったままもう数年。今では宛先がないこれを送っていたら何か違っていたのだろうか。
    伽藍お題bot@garanbot「返信忘れのメールがひとつ」


    知ったかぶりをしないでくれよ、理解したふりもやめてくれ。別に無理して歩み寄ってくれなくたって、誰も助けてくれなんて言っちゃいないんだ。偽善は反吐が出る。心底からの善意ならなおさらだ。共感なんて望んでない。共存なんてクソ食らえ。ああ、何で何度手を振り払ってもあんたは笑って俺を呼ぶ?
    伽藍お題bot@garanbot「あんたのそういう所が嫌いだ、大嫌いだ。大嫌いなんだよ。」


    貴女はあの日から黒いドレスしか着ない。まるで全ての罪を纏うように帽子もピアスもブーツも喪服のような黒、黒、黒。白い肌にはもっと似合う色があるはずなのに貴女は頑なに他の色を拒む。だってこれなら解らないでしょう?と、浴びた返り血も心が流す血も飲み込んで覆い隠して、今日もまた銃を握る。
    妄想世界@手動お題@moso_propro「黒のドレスが似合わない」


    助けに来たよ!なんて正義のヒーローよろしく背中に庇われるのは正直死にたいくらい恥ずかしい。普通逆だろ、颯爽と登場するのは俺の方だろ。引っくり返せない実力差を未だに歯噛みしてるなんて女々しい。ホルスターから愛銃を抜いて剣呑な台詞を吐く横顔に安堵しただなんて口が裂けても言えやしない。
    伽藍お題bot@garanbot「ちょっと待っててね、今ぶっ殺してあげるから!」


    着いて来るな、と全てを拒絶する背中をそれでも見失わないよう懸命に追った。のしかかる重苦しい冬空は息が詰まりそうになる。つん、と鼻先が痛くなるほど凍てついた空気、まるで貴方のくわえた煙草の紫煙がこの世界を覆っているような。死んだ線路の上を辿って歩く、明日がどんなだかは誰も知らない。
    伽藍お題bot@garanbot「冬の空と灰色の煙」
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