眠りに落ちる瞬間を狙い澄ましたように耳元で声が聞こえた。「例えばだけどさ…」もう少し浅いところにいたなら飛び起きるなり何なり抵抗出来ただろうが、僕はそのまま枕が語る夢へ突き落とされた。綿と布でしかない物体のくせにそれはそれは壮大な、
    創作お題bot @sousakuODAI『妄想癖の枕』 #創作 #お題


    後悔してる訳じゃない。お前は土の下に眠った後も生涯賭した私の敵だ。けれどそれでも、あの日おじいさんがお前のために墓を建てた気持ちを蔑ろにするつもりはない。敵を悼め、と涙したその優しさを一握りの花束に変えてあの人の代わりに月一で運ぶ。
    創作お題bot @sousakuODAI『兎の墓参り(狸の命日)』 #創作 #お題


    もう当の昔に希望の火など消えた。反乱軍の首領が大々的に処刑され多くの者がそれに殉じたあの日以降、立ち上がろうと思う者はいなくなった。飼われていれば少なくとも生きては行ける。ただ誰も知らない。無力な羊群に一匹の獣が混じっていることを。
    創作お題bot @sousakuODAI『三十年と九年前に潰えた灯火』 #創作 #お題


    いっそ粉々に壊れてしまえばいいと眠りに堕ちる縁でいつも君は呟いた。皆のための平和を安息を豊かな暮らしと光溢れる未来を祈り続け願い続ける君は世界からただ独り搾取される存在だから。今日も無事に一日が終わるのは君の涙のおかげだと言うのに。
    創作お題bot @sousakuODAI『知っているよ知っていたよきみが世界を憎んでいること』 #創作 #お題


    そちらの国はいかがですか?面白いものは見つかりましたか?こちらは相も変わらず毎日銃声と剣戟の絶えぬ日々です。それでもみんな前を見て正しい未来のあるべき姿を探して懸命に戦い続けています。君が描く平和な未来を一日も早く見たいと思いつつ。
    創作お題bot@君は空を知らない @xkssx『093 前略、悪友様』


    追いかけて探して見つけてこの手で引き裂いて。きっと貴方の怯えた顔は涙の溢れる双眸は溜息が出る程美しい。叫んで許しを請うて悲鳴を上げて。貴方が口にする最期の言葉が私の名前でありますように。抗うその手を掴まえに今からゆるりと逝きますよ?
    しろくま@お題bot @srkm_title『そろそろ鬼ごっこもかくれんぼも飽きた頃ですので』


    きっと今日まで剣だって銃だって触れたことはなかったはずだ。上官から託されたその重みに華奢な背中が震えている。それでも彼は私の手をぎゅっと握り締め「姫、こちらへ」と力強く引いた。泣き虫で怖がりなくせに誰より優しい眼差しで抜け道を睨む。
    しろくま@お題bot @srkm_title『でも男ですから』


    『よって僕は潔く』と続けようとした辺りで唐突に文字が書けなくなった。見れば手中のボールペンはすっからかんになっている。やはり遺書を認めるなら情感も踏まえた上で万年筆にすべきだった。放り出し畳の上に寝転がる。やる気が失せた。死ぬ理由なんてどうでもいいのだ。生きる理由と同じくらいに。
    お題『ボールペンのインクが切れた』


    縁があったらまた逢おう、と別れ道を右に行く君は結局最後まで戦線離脱を告げた僕を責めはしなかった。何故とも問わず逃げる選択を許した。『また』なんて機会は多分もうない。けれど己の信じた道を行く背中を忘れたくなくて見えなくなるまで佇んだ。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『君が振り返らなかった事、僕は知っているよ。僕は振り返ったままだったから。』

    死を覚悟してはいてもいざ間近に迫ると怖いもんだ。護るべき者があるお前をこれ以上俺の我が儘に付き合わせる訳には行かない。だからずっと俺の背中を見て意地を貫き通させてくれ。ただ一人背中を預けたお前にだけは振り向くなんて醜態晒せねえから。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『君が振り返っていた事、僕は知っているよ。だから僕は振り向かなかったんだ。』


    一度も優しい言葉をかけてはくれなかった。一度も熱い眼差しをくれたことはなかった。手を伸ばせば素気なく払われて道で会う度眉をしかめられて。私だけそんなに邪険なのは何故?ようやく触れた頬もまるで氷のよう。死んでなお貴方は私を拒絶する。
    創作お題bot @sousakuODAI『君がこんなにも冷たいの』 #創作 #お題


    止めるなら今だぞと軋んだ声を吐く貴方は泣きそうな顔をしていた。抵抗しろよと言うのなら優しく触れるべきじゃない。泣き叫んで罵倒しろと言うのならキスを交わすべきじゃない。貴方の望みを否定するなら最初から無防備なフリなどしないと気付いて。
    ワー(ル)ズ / お題配布 @akspis『やめてって言って』


    コールには三回以内に出ること。メールの返事は十分以内。出かける時は行き先と相手を言え。寄り道は許さない。と言うよりいつも迎えに来る。約束事が多すぎて息が詰まりそうな毎日に、そんなに信用ならないかと問えば心配なだけだと返るしょげた声。
    白黒アイロニ(お題bot) @odai_bot01『束縛エブリデイ!』


    自分の短くない人生の大半を賭けて費やしてここまで作り上げて来たものがこんなにも呆気なく崩壊して跡形もなく壊れてしまったことが余程堪えたのか彼女はやがて耳障りな甲高い声で笑いながら舞うように廃墟を歩き出した。残しておくのも可哀想か。共に眠れと銃を構える。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.狂って、踊って、笑って』


    希望だとか愛だとか夢だとか答えたお前は現実を見ろ。世界はそんなに綺麗じゃない。絶望だとか悲哀とか怒りだとか答えたお前は前を見ろ。世界はそんなに無様じゃない。じゃあ答えは何かって?決まってるだろうただ一つ岐路だ。何を選ぶかお前次第さ。
    創作お題bot @asama_sousaku『問一、世界は何に満ちているのか』


    どんなに君が泣いてたってどんなに君が怒ってたってその顔を笑顔に変えるとっておきの魔法は僕にしか使えない。誰にも教えたりしないよ。あの花が開くような刹那の可憐さを他の誰にも知られたくはないから。だからほら今日もべそをかく君に近付いて、
    創作お題bot @asama_sousaku『僕だけが知ってる言葉があるんだ』


    死角から振り下ろした刃を弾かれ刀は手を放れて宙を舞い遙か後方に転がった。代わりに彼の切っ先がコツンと頭頂を叩く。「はい、一本俺の勝ち。今のはなかなかヤバかった」その口調は息も乱れてなくて見えたはずの背中が一瞬で遠ざかるのが堪らない。
    創作お題bot @asama_sousaku『近づく度に遠退く背中』


    指先程の塊が体躯を貫いただけでこれまで積み上げた鍛練だとか努力だとか血と汗と涙で築いて来たものが崩れ去るその虚しさの何と深いことか。背負ったものも抱いたものも過去も未来もその命すらただ僅か力を込めただけで終わるほど軽くなどないのに。
    創作お題bot @asama_sousaku『鉛の弾が全てを奪う』


    早く治して追って来いと新調された隊服が枕元に置かれた。病に膝を屈するなどらしくないと叱咤されたようで自然口元が緩む。「ええ」そんな約束叶いはしない。寝床から起き上がることも出来ないまま遠ざかる姿を瞼に焼き付ける。せめて貴方は意のままに生きて散れるように。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『4.君の為に祈ろう』


    この国を護りたいと志願して戦へ出た君は結局前線に送られることもなく終戦と共に無事に帰国した。死なずに戻ったことを悪く言う人もいたけど私は安堵していたの。けれど何故かしら。今までと同じはずの君の笑顔がまるで次元のずれたようで時々怖い。
    創作お題bot @asama_sousaku『帰って来た君は何故だか随分変わっていました』


    綺麗なまま銘刀が残っているのは時代が平和だった証だ。それを抜くことも腰に帯びることもなかっただろう。手入れだけは怠っていないが血の味を知らない生娘のような刃はやはり刀としては鈍らだ。その清純を汚す背徳に震えつつ重い一振りを手にする。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『美しきなまくら。』


    さて、と地面に落ちた帽子を叩いて被り直し男はゆっくりと踵を返した。例え無謀と言われようがやはり過去に残して来たものをそのままにしておく訳にも行かないようだ。血濡れた因縁はこの手で絶たねばならない。「男は幾つになっても馬鹿な生き物だ」
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『――これは『忘れ物』を取りに引き返す物語。』


    これでようやく貴方は自分の役割を終えることが出来たのだと地面に転がる首を持ち上げた。私がこの手で刎ねた罪悪と血と涙で塗れたかつての愛しい人の残滓。大丈夫。心配しないで。私は私の役割を貴方の後を継いで行くから。仮面を被り夜闇を駆ける。
    青色狂気(お題bot) @odai_mzekaki『刎ねた首を抱きしめる』


    出来るならお前の傍では死にたくねえ。無様を晒すくらいなら跡形もなく吹き飛ばされた方がマシだ。そんな願いを死神が叶えてくれた訳でもないだろうが、俺が撃たれたのはお前とは真逆の戦線だった。テメーだったら余裕だろ?笑う顔が眼裏に浮かんだ。
    創作お題bot @asama_sousaku『最期に見えたのは』


    全く以て笑えない。この下手くそなシナリオを書いた奴はセンスが皆無に違いない。そう思いながら鯉口を切る。昨日まで守っていたはずの物から刀を向けられ実に見事に綺麗に裏切り者へ転落だ。なあ俺をハメて楽しかったか?だが道化は道化のまま舞台の幕を引かねばならない。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.最低な喜劇を』


    ビリビリピンチですなんて、明確に解る訳じゃない。でも何となく、本当に何となくだけど、君が泣きたい時だとか辛いこと悲しいものしんどい気持ちが空気を振るわせて伝わって来る気がしているんだ。僕のアンテナはキミデンパ専用バリ立ち四本受信中。
    創作お題bot @asama_sousaku『キミデンパ』


    見ないでと涙を流す君は可憐な花のような面影は一体どこへやら今は目を背けたくなるほど悍ましい化物へと姿を変えられた。それが禁じられた永遠を望んだ報い。馬鹿だなと頬を拭いそっと口唇を寄せる。君さえいればそんなものなど要らないと言うのに。
    創作お題bot @asama_sousaku『どんな姿とて君を愛す』


    叶わぬと解っていても最後に貴方の手で無茶苦茶にして欲しい。そう縋った手を解いて貴方は困った顔で笑った。駄目だよ花嫁は純潔でヴァージンロードを歩かなきゃ。僕の自慢の愛娘、幸せに。代わりにくれた口付けは何より優しく残酷で蕩けるほど甘い。
    創作お題bot @asama_sousaku『たった一度きりの口付けを』


    そろそろ白状したらどうなんだと正座した脚を思い切り踏みつけられる。真実を告げたところでこの冷たい怒りが収まる保証なんてどこにもない。それでも身の潔白より本当は泣きそうな君を安心させたくてアレは姉だと告げた。「浮気なんかするか、馬鹿」
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『時計の音と、君の視線。(例えるなら刺すような、)』


    またミスをした。先輩が気付いてくれなければプロジェクト自体が頓挫してしまうほど些細なーーけれど致命的なミスを。このままじゃみんなに、何より憧れの先輩の迷惑になる。外して下さいと告げた言葉に返って来たのは丸めた冊子の一撃。「テメーのミスはテメーで挽回しろ」
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.足を引っ張るだけの私は』


    立てるかと問うたお前に悪気などなかっただろう。ただ単に深々と貫かれた左足を慮って気遣って心配してカバーしてくれただけだ。幼馴染をこんなところに置いて行けないと優しさを発揮しただけだ。それがどれほど俺の矜持を引き裂くか知らないままで。
    創作お題bot @asama_sousaku『差し出した右手を叩き落とした』


    舞台は整った。満員の客席から拍手喝采も聞こえる。あとは完璧に仕上げたシナリオを役者がそのまま演じてくれれば人類史上に残るだろう無惨な裏切りの悲劇が幕を開けるのだ。私の名など必要ない。裏から指先で糸を引く策士は表に出てはならないのさ。
    創作お題bot @asama_sousaku『大手を広げて嘲笑う』


    どこまでも続く水面の上を歩いて行く。足取りは軽い。羽なんかないのにいっそ飛べそうなくらい。水面と空の境界はない。どこまでもどこまでも澄んだ蒼に染まった世界。これで君がいれば完璧なのになんて下らないことを考えて気付く。ああそうだ、もうどこにも君はいない。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『3.ここは天国かな』


    まるで俺の腹の虫が連絡しているんじゃなかろうかと疑いたくなるようなタイミングでお前はいつもたくさんの料理を詰めた籠を抱えてやって来る。いつからだろうか、そのお節介を嬉しく思うようになったのは。お前と食べると美味いとは言わないけれど。
    創作お題bot @asama_sousaku『君に幸せを宅配しに来ました』


    近付く口唇に瞼を落とすと私の好きな低音が鼓膜直下でいい子だと囁く。まるでそれを閉じ込めるように貴方は私の耳を塞いでキスした。濡れた舌を交わす度ダイレクトに脳を犯す水音。はしたないと思っても肌を辿る指の熱に蕩けて疼く中が堪えきれない。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『目を閉じて、耳を塞いで。そうしたら一つ、キスをしよう。』


    さあどうするのなんて追われて壁を背にした者の言葉じゃない。相変わらず挑発的な眼差しは試すような色を浮かべて俺を睨みつけている。決まってんじゃねえかとこちらも悪辣な笑みを浮かべブーツの底で体躯のすぐ脇の壁を蹴りつけた。鳴かしてやんぜ。
    創作お題bot @asama_sousaku『追いかけた先は行き止まり』


    そんなものに意味はない。そんなものに価値はない。このどうしようもない存在など証明したところで誰がその意義を認めてくれるものか。誰がそれを欲してくれるものか。全部捨ててしまえ。理由など他人に求めるものではない。己が掴んでいれば充分だ。
    青色狂気(お題bot) @odai_mzekaki『存在証明絶版廃棄』


    目の前に横たわる血塗れの小さな身体。まだ小学生ではないだろう。車に轢かれて一目で死んでいるのが解るその頭上には減って行くカウント。あの日あの時、もし誰かが100円を投入してくれれば弟は死なずにすんだのだ。小さなコインを握り締め俺は、
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『「コンテニューしますか?」(100円で救える命があります)』


    後から後から溢れ出るそれは命の証。君をこの世に留めておく頼りない蜘蛛の糸。必死に傷を抑える指先を濡らして零れ続ける血の勢いに身体が震えた。止血の手順は間違ってない。なのに君はどんどん冷たくなって行く。おかしいよ。誰か助けて。僕の友達を連れて行かないで。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『4.だって、止まらないんだ』


    いつもと同じ平和な景色。いつもと同じ平穏な時間。あんな戦いがあったことを誰も知らない。貴方一人が全てを背負って全て引き受けて終わらせたことを誰も知らない。ただ独り貴方だけが世界のために犠牲になった。貴方の愛したこの世界が私は嫌いだ。
    創作お題bot @asama_sousaku『護られた世界で泣く心』


    いつも同じバスに乗る有名女子校の制服を着たあの子。話したことなんか勿論一度もない。目が合うこともない。それどころか多分向こうは僕の存在すらきっと認識していないはずだ。だから、きっかけもないのにいきなり声なんてかけられない。でも名前くらい知りたい。だって初めての一目惚れだったんだ。
    『名前を教えて』


    スコープ越しには人質の少女に銃口を突きつけた凶悪面の男が何と叫んでいるかは解らない。交渉役の刑事とやり取りしているはずだが今の角度とタイミングだと頭を撃ち抜いても反射で凶器が彼女を傷つける。まだだ、もっとこっちへ寄れ。舌なめずりをして期を計る。絶対ぇ助ける。死なせたりするもんか。
    『引き金はまだ引けない』


    最後に行った水族館の目玉がイルカだった。いろんなグッズがある中でどれが欲しい?なんて訊いてくれて初めてペンダントをプレゼントしてくれた。それがまさか形見になるなんて思いもしなかったけど。おかげで私は未だに水族館へ行けやしない。似ている優しい目元にいつか踏み出す勇気を貰えればいい。
    『イルカのペンダント』


    私が死んでも忘れないよう時々流れ星を送るね。そう笑った君が死んだのは今日みたいにきんと空気が凍えた夜だった。全くこんなクソ寒い中望遠鏡担いで屋上で何してんだかと我ながら思うよ。恋人でも友達でもない君のために風邪を引く危険も省みず。でも何故だろう冬の流れ星が一等綺麗な気がするのは。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『3.寒空と君と流れ星』


    貴方のためなら何でもする。跪いて忠臣を気取っても口先だけなら何とでも言える。男の前にライフル銃を投げた。「俺ぁこの国一つ手にしたくらいで満足する男じゃねえ」世界を、と続けかけた言葉は「ならば銀河全てでも?」と不適な笑みに封じられた。
    青色狂気(お題bot) @odai_mzekaki『銀河をライフル銃で撃ち落として』


    あとは俺とお前の二人になってしまった。嘗ては権勢を誇り生物の頂点に立っていたと言うのに情けない。何れにせよこの包囲網を潜り抜けて男同士生き残ったところで俺たちの種族はこの世界から消える。ならばいっそ奴らの手に落ちる前に自ら果てよう。
    創作お題bot @asama_sousaku淘汰され行く存在故に


    遅刻したらマズいだろと言うとますます意固地に俺を抱き締める腕に力が籠もる。まさか民衆から絶大な指示を誇る総督閣下が酷いあがり症なんて口が裂けても言えないよな。綻び一つない真新しい衣装の背中を叩いて大丈夫だと励ます。みんなお前を信じてる。だから前に立つ時はしゃんとイケてる顔をしろ。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『4.あと5分だけでいいから』


    美辞麗句で飾った奇麗事を並べた演説に群集からは拍手喝采が上がる。おいおいお前らまさかこんな建前を信じるつもりか?希望を煽り上手いこと言って搾取するいつもの手練手管じゃねえか。誰かが終わらせるべきなら今そのどや顔に鉛玉ぶち込んでやる。
    創作お題bot @asama_sousaku『素晴らしすぎて反吐が出る』


    貴方の笑顔を守りたいと只それだけを願ったはずだった。例えどこにも居場所を持てまいと例え誰から疎まれ謗られ罵倒されようと貴方さえ笑っていてくれれば世界はそれで充分だった。なのに何故だろう。僕たちを庇って貴方が断頭台(そこ)にいるのは。
    創作お題bot @asama_sousaku『僕たちはあまりにも弱くて』


    昨夏から出しっ放しの風鈴が春風に触れられて声を立てる。夏の冷えた音より幾分甘やかなそれは温くなった炭酸水の味を思わせて何だか急に飲みたくなった。と言うのはただの口実で多分暇してる店番の君に逢いたいだけの臆病を誰ともなしに隠して歩く。
    Cock Ro:binお題配布bot @CockRobin_bot『風鈴とラムネ』


    大好き、なんて言葉は信じるに値しない。次の瞬間には消えているかもしれない感情の報告など何の意味がある?ずっとそう思って来た。お前に繰り返しそう告げられる度煩わしくて神経を逆撫でられ癇に障った。なのに失くした途端物足りなくて堪らない。
    創作お題bot @asama_sousaku『応える術はもうないというのに』


    認めてしまえば自分の負けなような気がして例え間違いに気付いても譲らない。似た者同士のお前もどうせ今頃同じ後悔をしているんだろう。腫れた頬へ当てた濡れタオルが冷たい。でもきっと顔を合わせればいつだって俺たちは過ちをまた繰り返すのだ。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『たった一言が言えなくて、いつだって殴り合いで無言の応酬。』


    こんなことを望んでいた訳でも君に告げたい訳でもないのだがと尤もらしく顔を顰めてみせる飼い主に冷めた視線を送る。使えなくなった道具を処分するのは当然だ。刃向かうつもりも言い訳するつもりもない。ただ俺以上に斬れる刀は見つかりゃしないぜ。
    創作お題bot @asama_sousaku『どうせそれが総意なんだろ?』


    こんなところでくたばるなんて思ってもみなかっただろう。いや寧ろ解っていたからこそお前は最期に足掻いて見せたのか。汚い路面に広がる血溜まりにせめてもの手向けとポケットのハンカチを投げた。ほら見ろ俺に看取られるなんざろくな結果じゃない。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『路地裏の葬式。』


    本当は共に刀を取って戦場に立ちたいのだと私が言ったら君は笑うだろうか?一国の主がそんなことを軽々しく言うものではないと諫められるだろうか?けれど友の背中を守りたいと思うのは当然だろう。この地から動けないならせめて武運を祈ろう。この魂は君と共に駆け君を守りどうか無事に戻れるように。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.君の為に祈ろう』


    ここを抜けるは妾になるか死体になるが関の山。どうせ成るなら千両箱を積まれるほどの高嶺の花になりとうせ。差し伸べられる煙管の枝に己の末路を見て女衒の手にすら縋りたかった。歓迎すると艶やかな声の投げられる細道は落っこちそうなほど心許ない。帰るべき地獄は当にないと甘い匂いが背後を塞ぐ。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『3.怖いながらも、とおりゃんせ』


    大丈夫かと差し伸べた手は斬り捨てた敵の血で真っ赤に汚れていた。助けを求めていたはずの母親はまるでこちらが悪鬼だと言わんばかりに悲鳴を飲み込み怯えた顔で子供を背後に庇う。生憎そんなスマートな英雄じゃないんでね。守れたならそれでいいさ。
    創作お題bot @asama_sousaku『血に汚れたこの手では』


    修羅となり道具として生きることなど決意するまでもなく生まれた時から決まっていた。人を殺す術だけを教わり人を蹂躙して生きて来た。これからもずっとそうなのだと信じるよりも先に知っていた。なのに貴方のくれた御守りだけが未だに捨てられない。
    創作お題bot @asama_sousaku『捨てられないでいたもの』


    君はもう少し他人を疑うことを覚えた方がいい。もし僕が君を殺すために差し向けられた刺客だったら?呑気に隣で寝こけたり無邪気に笑っている場合じゃないだろう?そう言うと君は真っ直ぐ僕を見やってそれだけは絶対に有り得ないわと楽しげに笑った。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot『無防備という名の完全武装。(臆病な僕は君に傷一つ付けられない)』


    立っているのもやっとな身体を引き摺って進む。腕に抱えた君はいつもより21g軽くてけれどそんな差異など解らぬくらい僕の意識は朦朧としていた。薄情だって怒るかい?けれど君を殺すのは僕の役目で僕を殺すのは君の役目だ。獣のような僕らの愛の最期は君の指が引き金を引くエンドマークが相応しい。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.終焉の舞台』


    惨めったらしいと思わないか。昨夜の雨で散った桜の花弁を踏みつけながら貴方はなおも足を止めることはしない。散ればそれで終わりじゃない。誰かが後始末のために死に損なわなければならないなんてそんな死に様は美しくないと。涙を堪え墓石を磨く。流された花弁は泥に塗れなお生きて。 #さくらの日


    一緒に探してくれませんかとバーで隣り合った男は笑って見せた。口説き文句にしては下手くそだ。けれどあの人と同じ煙草の匂いに酔った頭は首肯を返していた。ハナから持ってなどいない私でも役に立つかは知らないけれど繊細な指先が気に入ったから。
    創作お題bot @asama_sousaku『愛というものを無くしてしまったので』


    貴方はそんなことなど望んでいないと嘆くかもしれない。やめろと懇願し軽蔑するかもしれない。けれど私には貴方が世界そのものだったから貴方のいない世界になど何の意味もない。貴方を奪った世界になど何の価値もない。壊して解体して作り直さねば。
    青色狂気(お題bot) @odai_mzekaki『「私はここに全世界へ向けて宣戦布告し、殲滅させることを宣言する」』


    どうせなら私のこの穢れた血を吸って色付く花であればいい。想いを残して死んだ者の血は腐りやがて呪いとなると言う。貴方がこの樹を仰ぎ見る度に私を思い出す呪いよ。柔らかな風に舞ってひらり一片貴方の頭へ肩へ触れて止まる。柔らかな紅色は血の、命の一片の美しさだと覚えておいて。 #さくらの日


    硬い土を掘り返し僕は僕の死体を埋める。寝心地は悪そうだが仕方ない。残された時間は僅かだ。千本桜が枯れる前に僕は全ての僕を葬らねばならぬ。血の付いたシャベルで土を掘る。ざくざく、ざくざく。これで999人目。最後の1人はどこにいる?背後で風の唸る音。衝撃と共に世界が終わる。 #桜埋め


    はらはら舞う白い花弁はまるで雪のようだと手を伸ばし君は楽しそうに笑った。花冷えの夜は寒くて人恋しいとせがまれ桜の欠片塗れになりながら君を抱き締める。そうだ、寂しく独りでなんか逝かせるものか。きっと明日の朝には朱に染まった新雪のような花弁に埋もれ僕らの死体が転がっている。 #桜埋め


    目指したのはただ戦のない平和な世界だった。戦場から立ち上る鈍煙で汚れぬ空だった。そのために血を流しすぎたのだろうか。今は味方と信じた兵に囲まれ城は燃え盛り陥落寸前だ。いやはや誠に世の中上手く行かぬ。そう愚痴れば傍らで友が笑った。黄泉路の同道拙者ですまぬ。まあむさ苦しいが悪くない。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.地獄まで一緒だよ』


    私は戦えないし傷を癒す魔力もない。こんなお飾り君主はさっさと見捨てて逃げた方が利口じゃなくて?そう疲れた顔で宣う姫様に林檎を放る。だったらありがとうとお疲れさまを言え。アンタがいれば何とかなる。ここに集った連中はまだそう信じてるぞ。
    『一人遊び。』お題bot @hitoriasobi_bot「何も出来ないなら、せめて笑えよ」


    それどうした?と訊くとお前は一瞬きょとんと瞬いてからああと首筋を隠すように撫でた。虫さされと返る答えが嘘なのはモロバレだ。例の小遣い稼ぎで悪戯されたのだろう。独占欲にも程がある。やめろと言ったろと言うこちらの小言も何のその涼しい顔で飽きたらねと笑う性悪寝子の舌出しに溜息をこぼす。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.首筋の赤い跡』


    この手紙を無事に届けられるか否かに全ての命運がかかっている。頼んだぞと送り出してくれた総督の期待に是が非でも答えたい。多くの仲間の命を救うためにも無駄な犠牲を増やさぬためにも敵の大将に会わねばならぬ。例え捕らえられ斬り捨てられようと和睦の道を最後まで諦めてはならない。未来を繋げ。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337
    『3.例え命を賭してでも』


    同じ師の元で剣を学び同じ志を抱いていたはずだった。共に弱き市井の人々の笑顔を守るために誰より強く立派な武士になろうと誓ったはずだった。それなのに何故俺だけはこうなってしまったのだろう。数多の血で汚れた剣ではお前の隣に立てやしない。
    創作お題bot @asama_sousaku『約束したあの場所は今や遥か遠く』


    レースの布を持ち上げて初めて妻となる女の顔を見た。政略結婚の道具には打ってつけの純粋無垢を絵に描いたような美貌。誓いのキスをと促され処女雪のような肌で唯一赤い口唇にキスをする。小さく息を飲んだ仕草がまるで甘い毒薬のように心を打った。
    しろくま@お題bot @srkm_title『ベールとキスとカンタレラ』
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