いつか必ず手と手を取り合って互いに助け合いながら歩む道があるはずだと信じていた。目指す未来は同じだとそう信じていた。それなのに僕らは今切っ先を突き合わせ刃を交わらせ互いを屠ろうと刀を振るう。己の正義を貫くため己の大事な友を殺すのだ。
    お題bot* @0daib0t『僕らは互いに 自分を必死に騙し続けて、いま目の前に横たわる未来を ずっと見ないようにしていた』


    獅子は子を千尋の谷に突き落とし這い上がって来た者だけを育てると言うが彼の課したお題はさらに酷かった。それを越えて往かねば歩めぬ道が修羅の生きる術か、血を吐き泥に塗れ無様に這い蹲る俺を笑顔で見下ろす。もう終わりですかと言う問いは死刑宣告に等しい。まだだと吠えて抗え、意地を見せろ。
    #お題アンケ https://shindanmaker.com/601337 『1.全力でかかってきなさい』


    やっと来てくれた、と笑う声に力はない。数え切れない人間を目にしたが俺の来訪を歓迎する奴は彼が初めてだ。気持ちを伝えてから死にたいと言う願いに一度だけ切っ先を引いた。上手くは行かなかったのか。ならばせめて、その首は苦しまずに刎ねよう。
    青色狂気(お題bot) @odai_mzekaki『病弱な青年は死神に笑いかける』


    この世界が滅ぼうが何がなくなろうがそんなことは知ったことか。僕にとって君以上に大事なものなんかない。君を犠牲に継続して行く世界に価値なんかない。だからサヨナラなんて言わないでくれよ、みんなのために死ぬくらいなら僕のために生きてくれ。
    お題bot* @0daib0t『君に生きてほしいと思うのは、僕のエゴかな』


    カップラーメンの麺が伸びている。汁を吸ってふやけたそれは今の僕たちみたいだ。惰性でかき込んだものの噛む必要もない。いつからだ、そんな僕を君が見ようともしなくなったのは。いつからだ、そんな君を僕が責めることすらしなくなったのは。湯気など会話など当に絶えている。 #カップ麺が伸びる


    「真剣な顔して何読んでるかと思えば」ひょいと後ろから無造作に伸びて来た手が教えて貰ったレシピを浚って行く。鼻先を掠める煙草の匂いに返してよと視線を上げると、思ったより近くにあった双眸とかち合った。「俺はお前の料理食いたいっつったんだけど」 #手癖で恋に落ちる瞬間を表現してください


    「せっかくなんだから女の武器はもっと有効に使えよ」泣けない私の代わりに涙するように、ざあざあと降りしきる雨が周りの音をかき消して行く。それから庇うようにばさりと被せられた上着ごと肩を抱き寄せられた。その煙草の匂いと体温が私の心を弱くする。 #手癖で恋に落ちる瞬間を表現してください


    君と僕とどちらか一人しか生きることが出来ない道なれば、きっと僕は君に殺されることを躊躇わないし、君も僕を殺すことを厭わないだろう。両雄は並び立たない。椅子は一つ切り。だからいつまでも君を魂に刻み君の魂に棘として食い込んだ僕の勝ちだ
    お題bot* @0daib0t『君のために死ぬから、僕のために生きてくれ/君のために生きるから、僕のために死んでくれ』


    どうせなら天の川に水葬してくれなんて意味の解らないことを言う君にあれは星屑が集まってるだけで川じゃないと正論を投げると拳が飛んで来た。ああそうだな、ろくな生き方など選べなかった俺たちだから死に方くらい白銀塗れで美しく好きにしたい。
    お題bot* @0daib0t『星屑、水葬、白銀』


    音もなく降り注ぐ雪を模したパウダースノウに溜息をつく。寒さなど感じないはずなのに独りぼっちで過ごすこの硝子の世界は凍えそうに冷たい。ねえいっそ誰か手折って散らして頂戴。冬に咲く奇跡の華なんて大それた名より貴方の血を浴びて果てたいの。
    お題bot* @0daib0t『スノウドームで酸素を吐く』


    今宵も眩いばかりの金色の光を供に連れ彼女がこの星に帰還する。「やはり団子はお前の手作りが一番旨いでな」あの日罪を犯したと流されて来た彼女と出逢ってから幾年時間が過ぎたのか。寸分違わず美しい彼女とは違い僕は年老いて老人になった。来年も迷わず見つけてくれるだろうか。 #tw月の友15


    例えどこに行こうとも例えどこにいようともお前は私の妹で父上の娘だ。必ず憎きあの裏切り者の首を取れ、嫁ぐ前に渡された懐刀は今も肌身離さず持っている。けれど私は彼を刺して本懐を遂げられるのか。気付いているのに私を愛してくれる男のことを。
    お題bot* @0daib0t『いつかあなたを刺すための刃』


    地図にも載っていないその白い街は特別線の蒸気機関車に乗らねばならない。駅前の絵描きの路店で秘密の切符を買って、地下道の扉からいくつか線を乗り継いで。例え8月だろうとしんしんと雪が降り続く永久凍土の凍えた街。きっと今度は君を捜し出す。
    お題bot* @0daib0t『地図、白い街、蒸気機関車』


    誰しも劣化はしたくないものねとマニキュアの爪が弾倉を鮮やかに弾く。込められた弾丸は一発きり、かしゃんと収められたそのどこに入っているかは解らない。「さあ、貴方の魂が錆びついたとは言わせないわよ」引けば六分の一の確率で死亡、引かねば即死。身もその矜持も。どちらにせよ分が悪い賭けだ。
    お題bot* @0daib0t『劣化、マニキュア、錆びついた』


    僕以外に取る手がなくなったら君はどうするんだろう。世界中独りぼっちになってもまだ抗うか。僕に縋って膝を屈するか。どんな顔で絶望するんだい?知っているだろう?僕は例えどんな手を使っても君を手に入れたいんだ。そのためなら例え他の誰を壊そうと世界の全てを敵に回そうと別に構いやしない。
    お題bot* @0daib0t『僕以外の世界中の全部が、きみを見限りますように』


    君と話をするのなら他愛もないことがいい。例えば世界の果てには何があるかとか例えば愛についてとか。交わす言葉には意味も意義も終わりも要らない。ベッドに寝転んで同じシーツに包まって秘密の世界で楽しげに笑う君の弾けるような声をきらきら輝く真っ直ぐな瞳をいつまでも独り占めしていたいから。
    お題bot* @0daib0t『意味も答えもない話を ずっと 君としていたい、』


    この手紙をお前が読んでいる頃には俺はもうこの世にいないのだろう、と言う書き出しで綴られた貴方の最期の言葉。震える筆跡で紡がれたその一つ一つにあの時やはり泣いて縋って止めるべきだったのかと思う。けれど何故かしらこんな想いをするならさせるなら貴方に出逢わなければ良かったとは思わない。
    お題bot* @0daib0t『あなたからの手紙には、感謝と懺悔と 震える文字で最後にひとこと愛の言葉が記されていて、私はこれからきっと一生 あなたの欠片だけ抱いて生きるのだと悟って泣いた』


    女が見え透いた嘘の誘いに乗る時は、口先だけの優しさに慰められたフリをする時は、馬鹿だと嘲笑うのではなく注意なさいとママに教わらなかったのかしら、坊や。か弱い仕草も怯えた眼差しもみんなみんな隠した銃で貴方の心臓を撃ち抜くため。スカートの裾を摘まみ上げて、さあ私を美味しく召し上がれ。
    お題bot* @0daib0t
    『食べられたいの赤ずきん』