本当に往くのか、と問う言葉の代わりに吐いた息が白い。訊けなかったのは、その眼をしたお前の決意は、どんな言葉を重ねても変わらぬことを嫌と言うほどよく知っているからだ。せめて身体は達者でいろよ。そう願って遠ざかる背中からそっと逸らした視線の先で、霜降るまだ硬い蕾のままの花を眺める。
    scaldお題bot(@_scald_)『花冷えの折、訣別』


    ほらよ、と差し出された甘ったるいココア。湯気の立つそれが貴方にとってのあたしと言う答えのようで、いらないとそっぽを向いて口を尖らせる。「もう機嫌なおせよ」と言う声も、すぐ頭を撫でる仕草も、あたしの傍で煙草を吸わないのも、全部貴方の嫌いなところ。あの人の前ではそんな顔しないくせに。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『子ども扱いしないでよ』


    ある程度のことは目を瞑り耳を塞いで口を閉じ、知らんふりをして生きて行くのが利口と言うものだ。我々は忙しい。全ての罪悪を裁く手足もなけりゃ人も足りない。そしていいかい、お嬢ちゃん。そう言う場所が辛うじて救う命もあることを覚えておくんだ。正義が正しい訳じゃないなんてこの世じゃザラさ。
    がらくた@お題bot(@grktodai)『きれいすぎる水には魚が棲めない』


    衰えたとは言え、お前みたいなひよっこに背後を守ってもらうほど落ちぶれちゃいないさ。久し振りに握る柄の感触が、在りし日の記憶を蘇らせる。ざわめく心、さてどれくらい身体は動くだろうか。そんな疑問を拭うため、相変わらず不器用にしか生きられない弟子の背中をばしんと叩く。さっさと行きな!
    伽藍お題bot(@garanbot)『人の心配ばっかりしてるんじゃないよ、馬鹿たれめ』


    どっちを選んでもテメーの結末なんぞに興味はねえ。それでも上に立った責任は取らなきゃなるめえよ。その差配で多くの命を握っていた後始末をきっちりつけろ。どの道稀代の悪人として、汚名を背負い続ける事実にゃ変わりねえ。だから好きな終わり方を選べ。顔馴染みの誼で介錯ぐらいはやってやらぁ。
    scaldお題bot(@_scald_)『生き恥曝すか死にさらせ』


    甘酸っぱさとは無縁だった。苦くて乾いたあまりにも理想から程遠い関係。そのくせ貴方から名前を呼ばれる度に全身の細胞が悦びに震えて燃え上がる。始めから間違えてたの。溺れて呼吸を忘れた今はもう、やり直すには遅過ぎる。出逢う前に戻りたいとは言わないけれど、ねえ、せめて最後まで嘘をついて。
    お題のような違うような(お題bot)(@odaimdkbot)『レモン味とか、嘘つき。』


    笑うと出来る小さな笑窪も、とても嬉しそうに俺を呼ぶ声も、繋いだ手指の温もりも、抱き締めた髪の匂いも、記憶の奥深くに沈めた彼女と本当に瓜二つで、寧ろ違うところを探す方が難しい。けれど違う。違うんだ。君は彼女であるはずがない。あの喪失の絶望を冷たさを哀しみを虚しさを、忘れないが故に。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『とても似ているからこそ絶対に違うと確信出来る。』


    全く貴方と言う人は、私がどれだけ怒っても、無茶と無謀の区別もつかない脳筋野郎だ。その思いつきを汲んで、咄嗟にフォローしなきゃならないこちらの身にもなってください。結果オーライ? 馬鹿なこと言ってないで早く彼らに顔を見せておあげなさい。また死ねなかったなんて次口にしたら殴りますよ。
    お題bot(@odai_bot00)『おかえりなさい、死に損ない。』


    もう長くはない、と医者から言われたのはつい先日のことだ。今の医学では到底治る見込みはないらしい。焼けるように肺が熱を帯びる度に、血混じりの激しい咳が出る。こんな姿は見せたくないな。もう少しであの人の夢が叶いそうなんだ。あとほんの僅かでいい。ここを守る間だけ、僕の身体よ動いてくれ。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『散り逝く命なら、君の盾になって散ろう』


    無理だとか不可能だとか、何でテメーが決めるんだ。前例も例外もない、だ? 知ったことかそんなもん。誰が邪魔しようが立ち塞がろうが、そんなことで諦められるほど、ハンパな覚悟はしてねえよ。譲れるほど、聞き分けいいガキじゃねえよ。超えなきゃならねえ壁があんなら、全部ぶっ潰して進むだけだ。
    創作お題bot(@Sousaku_Odai)『道がなければぶっ壊してでも切り開けばいい』


    すまない、などと今さら赦しを請うつもりはない。恨んでくれ、憎んでくれ、殺したいと言ってくれ。僕は己の正義を貫くために、そうであるべき罪を犯した。何より君の大事なものを悉く踏み潰して奪い尽くした。ああ、けれどその涙に濡れた燃える眼差しの美しさ。いつもは笑顔で心底嬉しげだったはずが今
    お題bot(@odai_bot00)『君は血を吐くように私の名を呼ぶ』


    「……悪いことはするもんじゃないな」そんな風に微塵も思っていない声音で振り向いた彼は、返り血塗れだった。本当はその本質を上手に隠していただけだと、嫌が応にも理解出来る眼差し。愛してるよ、と言った同じ口で、「君のことは気に入っていたのに、残念だ」
    #愛・悪・君で文を作ると性癖がバレる


    夢だから忘れろと、笑って嘘をつけたならどれほどよかっただろう。どうして、と否定するように僕を見る君へ、静かに銃口を向ける。ごめん、さようなら。雨よ、天の涙よ。どうせなら返り血だけじゃなく、この贖えないほどの罪も記憶も全部洗い流してくれないか。
    #雨・僕・嘘で文を作ると性癖がバレる


    死ねばいいのに、と僕の背中に爪を立てながら君が呟く。融けるような熱に上擦った声で、思い切り憎しみを込めながら。分け合えるものなど何もない。共に出来るものなど何もない。ただ今夜傍らにあったと言うだけの関係を、心地よく思いながらそうだね、と嗤う。
    #爪・死・僕で文を作ると性癖がバレる


    お互いに譲れないのは百も承知だ。何度となく言葉より剣を交わして来た君が相手だから、よく解る。曲げられないならその想いを圧し折って止めるしかない。ここで死んでも悔いはないだろう。昔から僕とは違う道を選んでばかりいるその眼差しを、少し羨ましく思う。
    #君・僕・死で文を作ると好みがわかる