顔よりも過ごした日々よりも、人が誰かを忘れる時はその人の声を一番早くに失くすと言う。交わした言葉は覚えているのに、貴方の声がどんな色をしていたのか、高かったのか低かったのか、もうあまり思い出せない。あんなに毎日電話して、いい加減にしろと言われるくらいたくさんお喋りしたはずなのに。
    お題bot(@tokinagare)『声が聞きたいです』


    忘れてたぞ、と無愛想に手渡されたハンカチをありがとう、と受け取る。この前は髪留め、その前は片方のイヤリング。お前どれだけおっちょこちょいなんだよ、とぶつくさ文句を言いながらも、貴方は捨てずに毎回律儀に取っておいてくれる。始めの頃は次会う時、なんてしていた約束も今は交わさないのに。
    君が欲しい@お題bot(@taki_checha)『会う度に君の車に忘れ物をするのはそれを理由にまた会えるから、それ以外の理由なんてないよ。』


    #手を伸ばす先なんてどうでもよかったの続きをみんながどう書くのか見てみたい
    手を伸ばす先なんてどうでもよかった。落ちまいとした脊髄反射の本能なだけだ。どうせ掴めるものなんてありはしない。正直なところ、そこまで縋って生きたい訳でもない。それなのに、お前があまりに必死に掴むものだから、


    強い想いを抱いてつけた傷は、どんなに治って塞がってもその痕が消えることはない。恨み憎しみ哀しみ妬み嫉み憧憬この手に欲しいと焦がれ誰かのものになるくらいなら壊したいと希ったその全てをぶつけ、お前に刻んだ。ああ、肉を穿った手応えを思い出す度歓喜で震える。これでお前は一生私を忘れない。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『一生消えない傷を与えた』


    投げ出せば、その手を離せば楽になれることは理解している。いつまでも抱えていたところで苦しいだけだ。とうの昔に限界を迎えた俺に、これ以上の伸び代はない。執着はダサいし見苦しいよ、と嘲笑われても、それでもこれまで捨ててしまったら、俺はもうきっと俺ではいられなくなってしまうんだろう。
    藤野@お題bot(@fictonkj)『諦める方法なんて知らない』


    死んだ、なんて俺は信じない。誰が何と言おうと絶対にだ。目の前であいつが事切れたって、100%偽物じゃない可能性を探すだろう。ましてや空の棺を運んで埋めるなんて狂気の沙汰だ。生きてるよ。あいつは絶対生きている。戻ってこの前の勝負の続きをしてやると、いつも通り不敵に笑ってたんだから。
    お題bot@GHQ!!(@GHQkitakubu)『死体のない葬式』


    かつて世界を救った手はあらゆるものを蹂躙し、かつて全てを守った剣は根刮ぎ奪う凶器と化した。弱き者を勇気づけた口からは呪詛がこぼれ、仲間を鼓舞した眼差しは絶望に濡れている。何がそこまで貴方を変えたのか、私は知る術を持たない。だからこそ憧れたその背を追いかけた理想を今一度貴方に問う。
    無音(お題bot)(@nothing_glass)『面影の無くなった英雄』


    あいつはいつも、約束の時間に遅れて来たことしかない。別にどうでもいいと思ってる訳じゃないよ、なんて言い訳も白々しい。あまりにも酷いので、今日はのこのこ現れたアホ面に罰としてジュース買って来いって自販機を指差してやる。安い罰金だなぁ、と笑いながら渡されたのは、ちゃんと俺の好きな味。
    がらくた@お題bot(@grktodai)『罰金120円』


    僕は子供の頃から鈍臭い。急かされると焦って失敗する。今日も何にもない道のド真ん中でスッ転んで派手に鞄の中身をぶち撒けた。クスクス笑われると余計に頭が真っ白になる。でも昔から君だけは「怪我ないか?」って一緒に拾ってくれるんだ。「……ごめん」「ごめんて言うな」そう苦笑する君にいつか、
    創作お題bot(@LoveTitleBot)『「ごめん」よりも「ありがとう」って言えるようになりたいな』

    「テメーの棺桶なら用意してあるぜ」
    放り投げられたのは空になった古い樽。がらん、と乾いた音を立てて転がるそれを一瞥し、俺は懐から抜いた銃の撃鉄を起こした。「この世から退場するには随分ボロいな。お前にゃ似合いだが」
    #殺すという言葉を使わずに殺すを一人一個表現する物書きは見たらやる
    「おい、懐にゃちゃんと六文入ってるか?」
    とかもありかな。


    あいつは本当に何を考えているのか解らない、なんて口を揃えてみんな言う。無表情、無口、反応薄いの三拍子揃った幼馴染み。でもずーっと見て来た僕にはほんの僅かなその違いが解るんだ。それはお前に心許してるからだろ翻訳機、なんて言われるけど、あいつはお前たちが思うよりずっと感情豊かだよ。
    森の奥@創作お題(@mori_odai)『表情豊かな無表情』


    ありがとう、と言える相手がいる内が華だよ。線香の煙を眺めながら彼はそう笑った。叱られるとうっせーなって思ったり、いろいろ訊いて来るのが鬱陶しかったり、それでも無条件でいつでもどこでも自分を気にかけてくれる存在があると言うのは、この上ない幸せだよ、と。伝えたい時には遅すぎるから。


    黒は何にも染まらない色だ、なんて誰が言っていただろう。そんなことはないさ、白を加えれば元は何だったか見えて来る。揺るぎない唯一なんてこの世界には何一つだってない。それは君も例外じゃない。いいことも悪いことも吸収するものが異なるだけで、たった一瞬前とはまるで違うものに変化するのだ。
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『コーヒーにミルクを落とすような』


    美味しいから君は気に入ると思うよ。そう唆されて口にした林檎で楽園を追放されたと言う始まりの男女は、果たして不幸だったのか。知らぬ幸せと知る幸せ、君ならどちらを採る? そう言いながら差し出されたUSBを引ったくる。知らぬことも知ることも=幸せじゃねえ、と返した答えに声を立てない嗤い。
    悲しみとお題bot.(@SadnessENDbot)『赤く熟れた果実と蛇と』


    普段はこんな甘めの服なんか着ない。メイクだってネイルだって、頑張ったりしない。どうしたら可愛いって思ってもらえるか、なんて気にしたりしない。料理も勉強したし、あなたの好きなクラブチームも覚えたし、精一杯背伸びしてお似合いのカノジョを目指してるのに、『ごめん仕事』のメール一つだけ。
    孤独症候群@お題bot(@s___syndrome)『全部あなたの為なのにな #お題』


    これで終わりと思うなよ。そう投げつけられた声は決して怒声ではなかったはずなのに、そこに滲む激情とふつふつと滾る熱だけは余すところなく伝わった。積み重ねた日々も繰り返した血と汗の滲むような努力も、ほんの些細な何かで一瞬にして砕け散る。それが違えば恐らく去らねばならなかったのは僕だ。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『差し出した右手を叩き落とした』


    どうか貴方だけは傍にいてあげてね、が彼女の口癖だった。例え世界中があの人を罵って後ろ指差そうとも、味方でなくたっていい、ただ傍にいてあげてね。すぐに大事なものを置いて行こうとする人だから、と。彼女の愛したあいつを未だに解らないままの僕が、代わりに傍にいることが意味なんて持つのか。
    宵闇の祷りお題bot(@yoiyami_inori)『一人で生きていかないように』


    お前は本当に強い子だ。そう頭を撫でていつも貴方が褒めてくれたから。誰にも負けないように、貴方を守れるように、ひたすら剣の腕だけ磨いて来た。貴方の邪魔をする者を排除して、貴方の悪口を言った者を処罰して、私の後ろには死体の山が築かれる。けれど貴方のいない今私は何をすればいいのだろう?
    お題bot(@tokinagare)『斬って斬って斬って。そうして生きてきた。(でも残ったのは虚しさだけ)』


    どこまでも続くように見える線路を、鼻歌と共に歩いて行く。廃線からそのまま忘れ去られたこの道は、もう誰も近づこうとしない。だから知らないのだ。永き眠りに就いているモノがそこにいるなんて。あの言葉に出来ない美しさを広めようとは思わないけれど。世界の終わるような夕焼けに向かって、一人。
    創作お題「れもんのきもち」bot(@lemon_no_heart)『【三題噺用お題】眠り、夕焼け、線路』


    どんなに苦しくたって悲しくたって辛くたって、君は決して泣いたりしない。弱音を吐いたりしない。そう言うのはとっくに涸れ果てちまったんだよ、と笑うことがどれほどか本当は解っているくせに。あの絶望を超えるものなんてこの世界にそうあって欲しくないね、と剣を取る背中がどうしようもなく痛い。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『私が君の代わりに涙を流した』


    愛する運命の人が赤い糸で繋がっているのなら、きっと僕と君は青い糸で繋がっているに違いない。運命だ。どうしようもなく、哀しいほどに。もし違う立場で逢えたなら唯一無二の友であったろう。もし同じ未来を夢見られたなら心強い味方であったろう。揺るがぬ信念のみ同じなら、君を折らねばならない。
    1番星にくちづけを(お題bot)(@firststarxxx)『青い糸』


    特別など望んではならない。平凡であることが平穏であることがどれほど尊いことか理解しただろう。命あっての物種だ。変わらぬ日々に刺激などなくていい。冷えたコンビニ弁当とぬるい第三ビールで丁度いい。分を弁えて生きて行け。命を無意味に削るのと無慈悲に捨てるのとではどちらがマシか考えるな。
    君が欲しい@お題bot(@taki_checha)『またいつもの日常に戻るのか。仕事して、帰って、疲れて寝るだけのそんな面白くもない日々が。』


    最後の最後で私を阻む者がいるとするならば、それはきっとあなただろうと思っていた。真の願いを叶えてくれるのは、私の全てを受け継いだあなただろうと。世界と私などどちらかなんて比べるべくもないでしょう。優しいあなたは何故?と答えを欲しがるだろうけれど。さあ、その手にした刃を突き立てて。
    ぽつぽつ(お題bot)(@potsuri200)『あなたが私を終わらせる。(ああなんて幸福な結末)』


    あの人は昔から口下手でねえ、と何も書かれていない便箋を見ながら彼女は静かに笑った。引出しの中には一体いつからのものが収められているのか、同じ味気ない封筒が整然と並べられている。何一つ言葉にしてはくれなかったけど、それでも充分なのよ。同封されていた鮮やかな押花が鼻腔を擽る気がした。
    飴玉お題bot(@odai_amedamabot)『白紙のラブレター』


    僕は大丈夫です、と言う言葉を何故信じたのだろう。こんな深手を隠してこちらの手勢が全て無事に逃げおおせるまで、たった一人で。削り取られる自分の時間を、燃え尽きる命の炎を、お前は絶望的な痛みと死に征く己と目の前の敵に何を思っただろう。終わったぞ。お前は守り切った。だからもう刀を離せ。
    お題bot(@odai_bot00)『無傷を装い血を流す』


    醜く朽ちる様を見られたくないのよ、と貴女は俺に一粒の種を渡した。私が死んだらこれを、と言われた通り遺体の口に押し込む。まだ温かく柔らかな唇を一度だけ吸って明け方部屋を出た。やがて貴女を苗床に育つ花はいつまでも美しくそこで咲き続けるだろう。夏も秋も冬ですら春めく永遠よ、いつかまた。
    和風創作お題bot(@wafuu_bot)『花葬 春めく 明け方』


    知らずにすんだ感情があった。見ずにすんだ世界があった。所詮蛙は大海で生きられないと空の青さだけ理解していれば、そこそこ楽しくて幸せだったんだ。なのに君がその境界線の向こうへ引っ張ったりするものだから、苦しいのにしんどいのに辛いのにまだ頑張ろうなんて思ってしまう。もう戻れやしない。
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『君に出会いたくなかった』


    従軍して最初に習うのは、武器の使い方でも敵の倒し方でもなくいざと言う時の自決方法だ。生きて戻ることは恥だと言われ、いつか死ぬ日のためだけに訓練を重ねた。なのに気付けばいつの間にか知らないうちに戦は終わり、焼けて戻る故郷もないまま僕たちは放り出された。この先どうすべきか指示はない。
    夜の創作お題bot(@odaiibot)『死に方は知っているのに、生き方は知らなくて』


    お互い生きて逢うことはもう二度とないだろうと予感していた。どちらも激戦区の最前線、散るならここをおいて他にはあるまい。だからこそ盃を交わしこそすれ別れは告げなかった。また、と約束もしなかった。俺たちの間でそんな言葉は野暮なだけだ。夢と志を掲げ共に歩んだ数年、後悔なぞありはしない。
    (創作向けお題bot)(@utislove)『さよならは言わない』


    必要なのは優秀な遺伝子ではない。どれほど賢かろうとどれほど腕が立とうと、そんなものは掌を返されてしまえば諸刃の剣となる。私が欲しいのは絶対に私を裏切ることのない盲目的なまでの忠誠心に他ならぬ。だからお前を傍に置いているのだよ。あの日、命に変えても拾われた恩に報いると言ったお前を。
    創作お題bot(@sousakuodai__)『どんな血統書付きより忠実』


    きっと一人だったら泣いてばかりで、戦おうなんて思いもしなかった。いろんな場所に行くことも、初めてのことに挑戦するのも。ましてや私を庇って怪我ばかりをしているあなたを守れるようになりたい、なんて。何も知らないままでいたのが恥ずかしいわ。だからお願い、傍にいて。一緒なら何でも出来る。
    お題bot(@tokinagare)『あなたがいれば私は強くなれるの』


    こんな些細で何かが変わるなんてことは、最初から期待していない。自己満足だ。自己完結だ。ただ私の気が晴れないだけの、八つ当たりだ。それでも正しさの仮面を被り、綺麗事を口にするお前がどうしても許せない。踏みつけた虫の痛みに気づかぬお前が、平和を掲げた王になどなれるものか。するものか。
    僕と君、俺とあんた(@odai_you_i)『秘める徒花』


    初めて逢った時からそうだった。目的は同じでも手段が違う。それは立場上からなのか嗜好のせいなのか、ともかくお前とは意見が一致した試しがない。けれど、何でだろうな。こう言う時一番に思い浮かべるのは必ずお前の顔で、そうやって背中を守ってくれる確信があるから、俺はいつだって自由に戦える。
    お題bot@烏合(@bot_crowd)『背中あわせでしか生きられない』


    まどろっこしい駆け引きは好きじゃない。主導権を渡す気なんかさらさらないんだから、妥協点を探るだけ時間の無駄だ。素直に教えてくれれば痛いだろうな、とお前を慮る真似もしなくてすむ。長い物に巻かれて来たなら解るだろう? 眼前の俺と来ないように出来る報復と、どっちを優先的に恐れるべきだ?
    ☆*:星月夜∅お題bot(@hosi_zuku_yo)『《210》「まぁ腹割って話そうや」『お前が言うと語尾に(物理)が聞こえる』』