お手。おかわり。取って来い。座れ。いいかい、今までどうだったかは知らないが、お前の主人は今日から僕だ。命令には必ず従え。否と言う権利などお前にはない。僕が「黒」と言えば例え白でも『黒』になる。牙を剥くな。爪を研ぐな。誰よりも忠実であれ。首輪をしている限りお前は僕のモノなんだから。
    がらくた@お題bot(@grktodai)『躾のなってない犬は嫌いだよ』


    お前は幸せになるべきだ、が口癖だった。俺ではその望みを叶えてはやれない、と私を遠ざける真似をして。一人戦場へ向かい戻っては来なかった。死んだ、とも生きている、とも聞かないまま別の人に嫁いだ。けれど、事あるごとにあなたと過ごした日々が脳裏をよぎる。焦がれる何があった訳でもないのに。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『「忘れてくれ」と言ったあなたを、今でも鮮明に思い出すの。』


    妻の遺品の片付けを始めた。元々綺麗好きで、早くから身辺整理をしていた彼女の持ち物は存外に少なく、それも譲ったり渡したりする内に殆んどなくなった。引出しの奥から最後に出て来た小箱には、初めて一緒に行った海で拾った貝殻が収まっていた。当時貧乏学生の私が指輪代わりだと差し出したものが。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『捨てられないでいたもの』


    貴方はきっと畳の上で静かに逝くような、穏やかな日々を送ることはないんでしょう。それを哀しいとは寂しいとは思いません。そんな貴方の背中に惚れた、女の業と言うものです。だからどうか、最期まで貴方の志を忘れぬように迷わぬように進みなさいませ。ただ願わくば、偶には私を想い出してください。
    お題bot*(@0daib0t)『死ぬ間際そばにいたいとは言わないけれど、最期に想い出すのはどうか私で』


    火をくれ、なんて言われてもマッチは先程最後の一本を使った。そう言うと、貴方はくわえた煙草の先に躊躇なく自分のそれを掲げてみせる。じりじりと先端に火が移るまでの束の間、恋人みたいな至近距離で視線を交わす。十年早ぇよ、と無造作に被せられた帽子と入り交じる煙草の匂いに舌打ちをこぼす。
    悲しみとお題bot(@SadnessENDbot)『あなたの帽子とシガーキス』


    『23時。鍵開けとけ』短的なメッセージだけが降り積もって行くボックス内。彼がこちらに微塵も興味がないのは知っている。ましてや愛だの恋だのと言う感情を覚えるはずがないことも。それでも、一度酔った弾みで始まった関係をずるずると続けているのは、一時でもその目に写してもらえるから、なんて。
    夢見月*お題bot(@neko_soragoto)『一度でも拒めば全てが終わってしまう気がした』


    そんなことは時間の無駄だ、と君は言うだろうけれど、万が一にもあったかもしれないことは今後ある可能性だってゼロじゃあるまい。なあ、夢は語る方が叶いやすいらしいぞ。いつか、が現実になるように頑張るのも悪くはないんじゃないか?どうせ願い事が一緒なら、二人分の想いの方が強いに決まってる。
    無音(お題bot)(@nothing_glass)『もしもの話をしよう』


    眠れないんだよ、と彼が言い出したのはいつ頃だったか。病院で処方して貰う薬が日に日に増え、さすがにおかしいと思い問い質した時には、ネットのヤバそうなサイトにも手を出していたらしい。今ぐっすりと死んだように寝ている顔は、何故か満ち足りて幸せそうだ。なあ、お前はそっちでどうしてるんだ?
    お題bot(@odai_bot00)『薬に埋もれて夢を見る』


    ずっとこのまま心地いい毎日が続くなんて、あるはずがないって解っていた。変わらないものなんて、何一つない。貴方も、私も、世界も、全て。同じじゃつまらんだろう、と笑う貴方の背中を見て来たから、変わることも離れることも怖くない。きっとこれからも繋がっている。だから、笑って手を振ろう。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『知ってたよ、いつか終わりが来ることも』


    ちょっとでも近い方がいいじゃねえか、なんてお前が言うから、酒瓶と椀を2つ手に屋根を上る。確かに落ちて来そうなほどでっかい黄金色の満月は見応えがあった。パンケーキみたいで美味そうだな、と言えば、お前そう言うとこだぞ、と小突かれる。肴なんか何でもいいよ。お前とまた馬鹿言い合えるなら。
    宵闇の祷りお題bot(@yoiyami_inori)『屋根の上の月見酒』


    そうか、君でも無理だったか。敵に蹂躙されてボロボロの身体で、なおも立ち上がろうとする姿は涙を誘う。けれどもう魔力は残ってない。戦う術は残ってない。世界をたかが数人の十代の少女の背中に負わせるなんて、と他人は眉を顰めるけれど、誰も代わろうとは言わないのだ。ありがとう、そしてごめん。
    お題bot*(@0daib0t)『さよなら、僕の魔法少女』


    きっと貴方がいなければ、このチームは上手く機能しなかった。目立ちたがり、自由奔放、面倒くさがり、引っ込み思案、ネガティブ、頑固ーー別のものを見て別の方角を向いている彼らを、一つにして纏め上げたのはどんな魔法ですか? みんなが頑張ってるからなんて貴方は笑うけれど、それが一番難しい。
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『ばらばらをつなぐ』


    ずっと一緒だと何となく思っていた。他の誰が離れても、お前が隣りにいることは当たり前で日常なのだと、慢心していた。失って初めて、それがどれほどの奇跡の上に成り立っていたのかを思い知らされるなんて、俺はとんだ大馬鹿野郎だ。空いた隣席が、お前のものが置きっぱなしの部屋が、ひどく虚しい。
    (創作向けお題bot)(@utislove)『この痛みに慣れるには、少し時間がかかりそうだ』


    沸点を超えた怒りと言うのは急速にその温度を熱量を失うものだ、と君は言う。その幼さに不似合いな笑みを不敵に浮かべながら。次に何かあればあとはただ砕け散るだけの脆さを、強さとは呼べないが、その奥に燻るものを殺してしまった訳でもないだろう。凍える牙は時として、どんな炎にも揺るがない。
    XTC_お題bot(@XTC_K04)『君は絶対零度の感情を知っている』


    やめとけ、と震えながら銃を握る手をそっと押さえた。心優しい君にはこう言う真似は向いてない。どうにかしなきゃ、なんて正義感は別の機会に取っておけよ。御旗はな、汚れてちゃならないのさ。光は陰っちゃ駄目なのさ。だから君はそのままでいろよ。何も知らない無垢のままでいろよ。僕だけでいい。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『君が変わるくらいなら、僕が変わる。』


    貴方のその、笑う時にちょっとだけ目を細める仕草が好き。いつもは鋭くて近寄り難い切れ長が、少しだけ懐っこくふにゃりとなるのが、拗ねるから言わないけど可愛いの。気づかないだろうな、仏頂面の貴方が本当はとっても優しいこと。でも、みんな知らないままでいい。貴方の本当なんて何一つだって。
    お題bot@烏合(@bot_crowd)『目尻に浮かぶ優しさだとか』


    お前の息の根を止めるのは、俺であるべきだ。いつだか悪ふざけで吐いた言葉を今さら思い出す。そうならないように、と願ったはずなのに、現実ってのは皮肉なもんだ。まあでもせめて、痛くないように苦しまないように。貴方誇れるのはそこだけだものね、と唯一お前が褒めてくれた得物を胸に突きつける。
    scaldお題bot(@_scald_)『装填、愛をこめて』


    別に銃や刀の腕が桁外れに達人だとか、怪力だとか何か特殊能力があるだとか、恐ろしく残虐だとかそう言う訳じゃない。でもどんだけ暴走していようと我を忘れていようと、彼女がほんの小さな(けれどとても可憐な)声でその名を呼べば、あいつは止まる。ふわりと花が綻ぶような笑顔は確かに守らなきゃな。
    青色狂気(お題bot)(@odai_mzekaki)『彼女はいつだって最終兵器』


    信じましょう、と言った貴方が最期に見たのは絶望だ。この汚れた世界を愛し慈しみ、希望の光を与え続け、手を差し伸べ続けて来たにも関わらず、貴方は裏切られ殺された。全てを仇で返したものを、どうして許せるだろう。貴方を奪った罪はどんな罰でも贖えはしないのに。優しさだけでは何も、救えない。
    お題bot(@tokinagare)『どうして世界はこんなに残酷なのですか』


    貴方のその、一人で何とかしようとするとこが嫌い。全部を背負って、他の誰も巻き込まず、自分だけで全てを被ろうとするとこが嫌い。ここまで一緒に着いて来て、少しは信じて貰えたのかなとか、頼ってくれてるのかな、なんて思ってた私たちが馬鹿みたいじゃない。みんなで帰るって約束したでしょう!?
    お題bot(@odai_bot00)『大嫌い、大嫌い、生きていて。』


    いつもピカピカに磨かれていたそれは、幼い私の憧れだった。事ある毎にいいなと羨ましがったものだ。それを覚えていたからか、退役する際兄は時計を譲ってくれた。その半年後、形見になるとは思いもしなかったが。けれどおかげで撃たれた私は弾が逸れ、命を救われた。まだこちらに来るなと言うことか。
    1番星にくちづけを(お題bot)(@firststarxxx)『ひびの入った懐中時計』


    カア、と鴉の鳴き声が虚しく響く。もう燃えるものなど何も残っていないのに、夕陽に赤く照らされた道は怨嗟の声が滲み出るかのようだった。燻ぶる煙の往先は見えない。灰と灰とーー此の世の全てはいつか形を失う運命と言えど、諸行無常が運命と言えど、ここは地獄であるまいに、己の無力を噛み締める。
    蝋梅bot(お題)(@roubaititle)『焼け野原をゆく』


    偶然行く方向が同じで、乗った列車の席が向かいで、嗜好が似ていて話が合って、道中退屈しなかった。ただそれだけの縁だ。別に何か約束した訳でもなく、連絡先を交換した訳でもない、赤の他人の通りすがり。やけに軽い鞄とか時折見せる底知れない眼差しとか。帰り道は暇だろうなと思った、それだけだ。
    夜の創作お題bot(@odaiibot)『スプートニクは帰ってこない』


    きっと同じことを他の誰に言われても、一ミリも何とも思わない。他意も悪意も深い意味もない、素直な言葉だって充分承知している。けれど嘘偽りのない君の本心からの言葉を、信じているなんてハンパではない君の言葉だからこそ、俺の心をこんなにも揺さぶる。ああ、今なら出来ないことなんて何もない。
    きみとわたしと(お題bot)(@kimito_odai)『君の言葉に一喜一憂するなんて』


    積み重ねて来た努力も、他を犠牲に費やした時間も、決して少なかった訳じゃない。才能とかセンスとか、凡人の自分が持ち得ないものに屈服したとも思わない。けれど終わりの笛が鳴ったら、俺たちにはもう先がないのだ。まだ足りないよ。やり足りないよ。もっとこの熱を、興奮を、腹いっぱい味わいたい。
    がらくた@お題bot(@grktodai)『終わりたくなければ、抗え』


    待ってるぞ、なんて約束をした訳ではない。気紛れな貴方のことだから、そんな言葉を交わしても忘れてしまう気もするし。でも、何故だろう。あんまり不安を感じない。そんなに頑張らなくても何となく、違う世界でも何度生まれ変わっても、貴方とはまた出逢える気がするの。腐れ縁だなんて苦笑いと共に。
    お題のようなちがうような(お題bot)(@odaimdkbot)『例え一緒に死ねなくても(死後があるならそれを信じてみたいじゃない)』


    黄昏時は人ならざるものと交錯することがある。あちらとこちらが行き交うことの出来る、ほんの僅かな時間。私を助けてくれたあの人と逢えるのも、その短い間だけ。『ほら、もうお帰り。戻れなくなるよ』と直接頭に響く低音と背を押す脚に、ぎゅっと胸が痛くなる。「連れて行って」なんて我儘だろうか。
    ぽつぽつ(お題bot)(@potsuri200)『夕闇に消えるなら共に』


    この前傷の手当をしてくれたお礼だと、ぶっきらぼうに差し出された。オレにはこれくらいしか出来ないから、としどろもどろだったのは、私を怖がらせまいとしてなのだろう。不格好で、決して上手とは言えないそれを、四苦八苦しながら、その大きな手で作ってくれたのか。頭に乗せて「似合う?」と問う。
    お題bot(@tokinagare)『素敵な花冠』


    昔はちゃんと持ってたんだよ、と紫煙を吐き出しながら、力なく笑う。いつ落としたのかどこで失くしたのか、とんと覚えてないけれど、僕だけ何も持たない訳にも行かないからね。行く宛などなく、それがどんなものだったのかも解らないまま、拾い上げては自分のものではない、と肩を落とすのにも慣れた。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『夢を無くした旅人は今日も何処か歩くのでせう』


    未だに戦火の爪痕が刻まれているこの街は、相変わらず人っ子一人いない。見渡す限りの瓦礫はそのまま置き去りにされ、ゆっくりと朽ちるのを待つばかりだ。汚染された空気と水と、とても生物が住める場所ではない。なのに、それらを苗床に時折紅い花が咲いている。さながら奪われた命の代わりのように。
    お題bot(@odai_bot00)『廃都市の花』