薄暗がりの中、人工的な明かりに照らされて漂う彼らを見つめながら、そっと手を伸ばし水槽のアクリルガラスに触れた。ヒトの可聴域なんかたかが知れている。理解出来る言語も。例え言葉が介在しても同じヒト同士ですら解り合うことは難しいのに、何故かその透明な歌声は聞こえる気がして身体を丸めた。
    【お題】タイトルあげるbot(@littlelittlebot)『ジェリーフィッシュのララバイ』


    このまま乗っていたら違う世界へ連れて行ってくれるのかしら、なんて疲れたように君は笑った。そうだね、お望みとあらば、って答えられるほど僕は大人ではなくて、黙って繋いだ手をぎゅっと握り締めることしか出来ない。どこか遠くへ誰も知らない場所へ、二人で行くために回ってよ、メリーゴーランド。
    創作お題bot(@LoveTitleBot)『深夜の止まったメリーゴーランドにて』


    好き、愛してる、大事にしたいーーこの世界には想いを形にするための言葉が幾千も溢れているはずなのに、どれもぴったり当てはまるようには感じられなくて、そうしたものを口にすることはあまりない。それでもあまりねだられた記憶はなくて、何故かと問うても彼女は面白がるようにふふ、と笑うだけだ。
    お題bot*(@0daib0t)『どれだけ言葉を尽くしても、1000分の1も伝えられない』


    いつだって貴方の特別でいたい。一番になれないなら枠外でいいの。他の何にも代われないように、貴方の心の奥の一等やらかい場所にこの身を埋めたい。何をするにも想い出して、その度じくじくと疼く棘でありたい。ねえ、沢山の人に囲まれている貴方でも、今まで貴方のせいで死んだ人はいないでしょう?
    バルキュリアの囁き(お題bot)(@blwisper)『死することそれがすなわち彼の中で生き続けることになるならこの命ですら』


    あらゆるものが地球の中心に引きつけられるように、貴方と私が惹かれ合うのは当然だった。生まれるよりも遥か昔から運命られていたように、何度離れても出逢うのは必然だった。そんなものに縛られたくはない、と貴方は笑うでしょう。何に命じられるでもなく、自分の意志で私を選んだのだと誇るように。
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『万有引力と運命』


    整った顔立ちはどちらかと言えば精悍な部類だし、立ち居振る舞いもスマートだからか「理想の彼氏じゃん」と友達なんかはよく言う。でも私の些細な一言でへにゃりと緩む眉だとか、無防備に擦り寄る仕草とか、すぐ拗ねる意外と子供っぽいとこだとか、他の人に見せることはないだろう表情は可愛いが正解。
    創作お題「れもんのきもち」bot(@lemon_no_heart)『君がかっこいいかって?世間的にはそうかも知れないね。』


    どうせなら眠っている間に世界が終わればいいのに、が口癖の君は、目覚めなくなってから今日で十年。変わらず健やかに眠り続けている。夢の中は楽しいかい? 薄く浮かぶ笑みに問いかける。我ながら馬鹿だと思うよ。この世界を望まぬ君を未だに縛りつけて、ああ、けれどあと少しで君の願いが叶うんだ。
    卵生お題bot(@ransyou_tmg)『目覚めぬようにおやすみなさいその間はきっと安らかだから』


    嫌い、バカ、近寄らないで。君の口から飛び出す悪口雑言と罵倒の嵐。結構本気の拳が飛び出すのも一度や二度じゃない。だけどそれがただの照れ隠しだって解ってるから、つい揶揄ってしまう自分も悪いのは百も承知の上だ。ねえ、ハニーこっちを向いて。可愛い顔を見せてよ、って言うのは確かめたいから。
    (創作向けお題bot)(@utislove)『俺のこと好きって、顔に書いてありますよ?』


    いつもと同じ路地、私は右へ君は左へ。ずっと喋ってたいのを堪えて帰ろっか、と呟く。平穏で退屈で変わり映えなんかちっともしなくて。でもそんな日が明日も必ずやって来るって疑ったことはなかったはずなのに。夕焼けオレンジ燃えるような空をバックに、君がそのまま知らない場所へ行きそうに見えた。
    宵闇の祷りお題bot(@yoiyami_inori)『手を振る姿にもう会えないような気がした』


    「証拠なんてどこにもないだろう?」そう言って薄い笑みを浮かべるこの男が、全ての元凶であることは火を見るよりも明らかなのに、言われた通り証拠はない。狡猾に傲慢に何かするではなく口先だけで、一体何人の人生を壊して来たのだろう? またおいで、と嘲笑って振られる手を睨み、拳を握り締める。
    がらくた@お題bot(@grktodai)『黒寄りのグレー』


    果たしてこれを飲むべきは一体誰でしょうか? ポケットから取り出して笑みを浮かべた途端、我先にと手を挙げて自分の優位点を口にしだす彼ら。下らないねえ、そんなにテメーの地位や財産が大事かい? あの世に持って行けるでもなしに。偽善でもこいつを助けろとは言わないのか。おっと、手が滑った。
    お題bot:むくろはな(@mnknk_odai)『幸いな事に解毒剤がここに一本だけあります』


    死んだ、なんて俺は認めない。墓に埋まっているのは空っぽの棺だ。花も遺品もなく、形式上だけの器。何も残らなかった、なんて報告は信じない。あいつはそんなに簡単にくたばるようなしおらしいタマではないのだ。空に昇る煙を睨みつけ踵を返す。どこにいるか知らねえが、俺が探して引き摺って来るわ。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『そこに骨など埋まってないのに』


    繋ぎ、繋いで、囚えて、囚われて。互いに手にした鍵は一本、スペアなどハナからない。失くせば終了。逃がさないから逃がさないで。罪状は何だっけ? 駆け引きも裏のかき合い、腹の探り合いも、もうどうだっていいだろう。どっちが悪いかなんて大差ない。運命の赤い糸は随分とゴツくて頑丈らしいから。
    Cock Ro:binお題配布bot(@CockRobin_bot)『恋と監獄は似ている』


    恋でも愛でもないのにキスなんかしないで、と君は奪おうとする度に掌で遮る。その絶対に縮まらない僅か2センチの距離が、最適解なんだろう。口唇に触れる権利を、最初に渡した数枚の紙幣で永遠に失った。そうして間違えた男が今まで何人いたのか、今さら好きだと伝えたら、君はどんな顔をするだろう?
    ぽつぽつ(お題bot)(@potsuri200)『唇は純潔』


    圧倒的なものを前にした時、言葉とは何て無力で無価値かと思わされる。称賛も畏怖も、どれだけ重ねて尽くしても正確に表現するには到底足りない。息を呑んだ。美しさでも悍ましさでもなく、ただ己の力の及ばなさに矮小さに、目の前で巨躯を捻って広い海にダイブする姿の迫力に。今もなお囚われている。
    お題bot*(@0daib0t)『死ぬならあの日の海がいい』


    よくもおめおめと戻って来られたものね、と侮蔑を込めて見下ろすと、散々殴られて顔を腫らした男は引き攣ったような声を上げた。私は優しいから、裏切り者の馬鹿な狗にまで死に方くらいは選ばせてあげるわ。十数える内に答えなさい。一、二カウント目で眉間に一発。見苦しいったらありゃしないわね。
    お題のようなちがうような(お題bot)(@odaimdkbot)『明日のゴミの日に出して頂戴』


    絶対に二度と戻るものか、と心に決めて飛び出した故郷へ出向く足は重い。勘当だ、と言う台詞を拳と共に吐き出した父が死んだ。どうか最期くらい、と縋る母の便りに嫌々単線に乗り込む。一時間に一本の二両車から見る景色は、相変わらずどんよりと霞んでいた。時間が止まっているのは自分も同じくせに。
    scaldお題bot(@_scald_)『鈍行に揺られて曇天の春』


    痛い。内側から灼かれるような衝動が走る。意志の速さに身体が追いつけない。足りないんだよこんなものじゃ。アイツに勝つには到底足りない。もう無理だよ、限界はとっくに超えてるんだ、なんて解ってる泣き言を吐くな。強くなければ意味がない。勝たなければ価値はない、そう言ったのはお前らだろう?
    お題のようなちがうような(お題bot)(@odaimdkbot)『もっと強いくすりを』


    ずっと共に同じ道を往くのだろうと、漠然と信じていた。見ているものは同じだろうと、掲げた理想は同じだろうと、疑うことなく無邪気に信じていた。けれど、そうか。過程は手段は道筋は決して一つきりではなかった、と残された空の盃を横目に溜息をつく。お前がそう決めたのなら止める権利は俺にない。
    蝋梅bot(お題)(@roubaititle)『別れとは決意である』


    絶対に許したりなんかするもんか。どんなに泣いて叫んで懺悔したところで、あの人はもう帰って来ない。復讐するにはあまりに幼くあまりに無力で、ただ虎視眈々と力をつけることで無意味な時間を空費するしかなかった。怒りは憎しみは風化するなんて嘘だ。あの日死んだ心を引き摺りながら、今日も歩く。
    バルキュリアの囁き(お題bot)(@blwisper)『時間が過ぎてゆく。貴方を奪った世界は規則正しく廻りつづけるのに私の世界は永遠に止まったまま』


    目を奪われる、と言う体験をしたのはあのただ一度きりだ。窓から差し込む月の光に一糸纏わぬ裸身を晒して、彼女は己を貪る男の首を無慈悲に刎ねた。噴き上がる血泉をその身に浴びた際の恍惚とした表情に、思わず息を呑む。つい、とこちらを捉える視線。しぃ、と人差し指を口唇前に立てるその密やかな、
    1番星にくちづけを(お題bot)(@firststarxxx)『いけないことは総じて美しい』


    お前は走ってないと死ぬのか忙しない、と怒られることもしばしばで、鮪みたいだと呆れた顔で笑われるのも両手じゃ足りない。でもそうして俺があちこち好き勝手に飛び回れるのも、お前がいてくれるおかげだと深く感謝している。疲れたら、しんどくなったら、他の誰でもないお前のいるここに帰るから。
    お題bot@烏合(@bot_crowd)『止まり木になってくれ』


    安いものだろうと柄を握ったまま震える手にそっと触れると、彼は嫌だと否定するように首を横に振った。真ん丸に見開かれた双眸からぼろぼろと大粒の涙が落ちる。洟まで垂らしてまったく子供みたいだ。とうの昔に覚悟は決めていた。それでこの国が救われると言うならば、最期くらい格好つけさせてくれ。
    お題bot(@odai_bot00)『代償が私であるなら幸運だ』



    はあ、と君が口を開く度に溢れて行く温度がただ愛しい。寒い中待たせてゴメン、と駆け寄ると私も今来た、と満開の笑顔。一秒でも一分でも、ただ傍にいられるだけで、時間を共に出来るだけで幸せだなんて、我儘で欲しがりのオレにしては随分と殊勝じゃなかろうか。次もその次も、そうしていたいなんて。
    宵闇の祷りお題bot(@yoiyami_inori)『白い息と赤い鼻と冷たい指先』


    どれだけ無謀だと思っても、無茶だと知っていても、貴方が笑って「大丈夫」と言うのなら、他に何も理由なんかいらない。とうの昔にこの生命も魂も、全部貴方に捧げた。あの日死んでいたはずの私だから、恐れるものなどもう何もない。信じる、なんて簡単な言葉では甘い。私はただ知っているだけなのだ。
    森の奥@創作お題(@mori_odai)『貴方の言葉だから信じるの』


    カタン、と言う物音がしてああ寝落ちていたのだと我に返った。傍らでタオルケットに包まる相方が、寝返った拍子にリモコンを蹴飛ばしたらしい。つけっぱなしのテレビを消して、くあと欠伸を一つ。テーブルには汗すら乾いた飲みかけのビール。未練たらしく煽ると気が抜けた生温い液体が喉を滑り落ちた。
    無音(お題bot)(@nothing_glass)『夜明け前の缶ビール』


    黙って発つなんてどう言う了見? 彼岸花が咲き乱れる橋の袂で、腕組みして待ち構えていた私の姿を見て、彼は眩暈がしたように天を仰いだ。きっとこのまま稼業を継ぐと駄目になる、と思ったんだろう。道中私を連れて行けない、とも。でもせめて、その背中を見送るくらいさせてくれたっていいじゃない。
    和風創作お題bot(@wafuu_bot)『眩暈と彼岸花』


    そっちの方がよかった、なんて今さら言うつもりはないけれど、それでもそんなもしもを考えないほど僕は意固地じゃないつもりだ。君と肩を並べて笑うのもきっと最高に楽しかったろう。でも僕は先にアイツに出逢った。そこから歩んだ道程も、否定するほど腐ってない。アイツを独りで置いとけないしね。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『在ったかもしれないけれど、無かった世界線。』


    手に入れた途端色褪せて、魅力も興味も失くなるくせに、誰かが大事にしているものを見つけるとそれが欲しくてどうしようもなくなる。本当はどうでもいいくせに、失くして奪われて悲壮な顔を見るのが好きなだけの人でなしのくせに、どんな手段を使ってでも何を犠牲にしてでもまたそれ頂戴って言うのだ。
    お題bot@GHQ!!(@GHQkitakubu)『ヒトの物だけ欲しくなる』


    喫煙者は幼児性が抜けていない奴が多いらしいよ、とどうでもいい話ついでに投げてみる。君は一瞬きょとりと瞬きをすると、ポケットを探って食べる? と飴を一つ取り出した。初恋もそれもレモン味ではなかったけれど、貰うと摘み上げる。でも違うんだよ、そうじゃない。俺が欲しいのはさ、もっと甘い、
    飴玉お題bot(@odai_amedamabot)『ところで唇が寂しいです』


    唐突に偽物だと気づいてしまった。死んだはずの俺の家族。ここにいればいいじゃない、と袖を引く笑顔につい、頷いてしまいそうになる。けれど本物は、決してそんなことを口にしない。ああ、あるはずだった未来を思い描いていた明日をかなぐり捨てて、それでも俺は現実でこの剣を取らねばならないのだ。
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『夢をみた。とても暖かくて、酷な夢を』
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