助手席に乗り込んで来た朝の弱い君は、相変わらず半分ほどしか開いていない瞼でシートベルトをきっちり締めた。朝飯の確保OK、ガソリン満タン、その他諸々必要なものの準備もバッチリ。戸締まり、電気、ガスの元栓は?と問うと、抜かりなしと返る答え。ワクワクすんね、とエンジンをかけギアを入れる。
    伽藍お題bot(@garanbot)『オーライ?』


    予定調和の結末も筋書き通りの展開も、テメーが決めたものに従うなんざ俺の性には合わねえな。抗うだけ無駄な運命、なんてやろうとしねえ言い訳だろう? そんな小さな杓子定規で俺たちを測ってんじゃねえよ。一発逆転、世紀の大々的ドンデン返しを見せてやる。なあ、人間捨てたもんじゃねえんだぜ。
    お題bot@烏合(@bot_crowd)『神様の掌』


    このまま二人でどっかに行っちゃおうか、なんて口を滑らせてしまったのは、あながち冗談でもなくて、君を大事にしてくれない世界なら捨ててもいいんじゃないか、と思ったんだ。誰も知らない場所だって君とならいいや、なんて。けれど君は困ったように駄目だよと笑うから、それ以上言葉は紡げなかった。
    ぽつぽつ(お題bot)(@potsuri200)『あの夏、夕闇せまる鳥居の奥で 君と迷子になりたかった。』


    きっとお前たちなら大丈夫。そう笑ってあの人がこの街を去ってから、早一月。歪んだ檻が壊れ、支配から解き放たれ、少しずつみんなは明るい笑顔を取り戻している。まだまだ崩れた建物やライフラインの復旧なんかは完全じゃないけど、そんなの大したことない。また一からみんなで作り直せばいいんだ。
    バルキュリアの囁き(お題bot)(@blwisper)『きみの足跡から強い花が咲く』


    やることなすこと無茶苦茶で、考えるより先に身体が動いて、口を開けば罵倒のマシンガン。組め、と言われた時は、何かやらかした罰かとすら思った。けれどフラットな目線とか分け隔てない態度とか、仕事への情熱を知る度に、ああ目指す未来は同じなのだと知ってしまった。今は背中を預けたい、なんて。
    妄想お題bot(@mousou_odai)『初めて出会った時の印象は、最悪。自分とは正反対の人間だと直感で分かった。できれば関わりたくない。そう思っていたのにね。 #妄想 #お題』


    キラキラと輝くほど充実したものではなく、私にとってあの時代は舌に残る苦々しさに似ている。甘酸っぱさには程遠い、悔恨と鬱屈と不自由さの象徴。まだ何者かになれると信じていた、浅ましく愚かなモラトリアム期間。過ぎ去ってなお、忘れさせてはくれないあの日の夢を捨てたのは遥か昔のはずなのに。
    蝋梅bot(お題)(@roubaititle)『青い春と檸檬』


    家から出ては駄目よ、とママは言う。外にはたくさん恐ろしい怪物がいて、貴方をぱくりと食べてしまうから、と。悪い人に拐われたら二度と戻って来られないの、と。でも毎日君は元気かな、とか今日は何してたのかな、とか考えちゃうんだ。一緒にいられたら傍にいられたら、どんなに楽しいんだろうって。
    お題bot*(@0daib0t)『外の世界は全部怖いよ だけど、君に会いたいんだ』


    どちらかが死ぬ以外の結論はなかった。己の曲げられないものを押し通すなら、相手をへし折り貫くより手段も方法もなかった。だからお前を手に掛けたことを後悔はしない。なのに、そうまでして守ったはずのこの世界は、相変わらず不義理で不条理だ。お互い、たった一つの命を懸けるほどではなかったよ。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『この手を血で染め上げて残ったものは何だった』


    私がどんな想いで君を作ったか、どんな願いを込めて君を作ったか、幾度となく繰り返して、自分の大切さを理解してもらおうとしたからか。そんなことを頼まねばならない心中を思うと、胸が痛む。例え支配されても、失われなかった優しい心が愛おしい。せめてもその責を咎を、親である私が共に背負おう。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『壊しておくれと泣く君にどうして涙を見せられようか』


    これはもう二度とないチャンスだと、散々念押しされて渡されたものだった。負けっぱなしの人生を逆転させるには、奇跡みたいな偶然を一歩踏み出す勇気を手にするより他ないのだと。それを若さ故一時の情に流されて、俺は棒に振った。あるかなしかの未来より、目の前の女を見捨てないことが全てだと。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『あの時失くした片道切符。(あの場所に辿り着いていたら、或いは)』


    はぐれないように繋いだら、すっぽり収まってしまう掌とぬくもり。機嫌よく紡がれる鼻歌はどんな意味の言葉なのか知らないが、お前が楽しいならそれでいい。ねだられたら風船だってアイスクリームだって、山程買ってやる。かつての君にそっくりなその笑顔を守るためなら何だってやると言ったら笑うか?
    赤薔薇お題bot*(@akabarabot)『俺の隣の小さな歩幅』


    君がいるべき場所はそこじゃない。上手く隠して飼い慣らしてるみたいだけど、解ってるだろう? 規則とかルールとか、そんなもので不自由に縛られた君の本性は悲鳴を上げている。道理より倫理より、優先すべきがあると知っている。獣で何が悪いのさ、尤もらしい顔をしたところで所詮ヒトだって獣だよ。
    お題のようなちがうような(お題bot)(@odaimdkbot)『こっちだよ、こっち。(早く堕ちて来て)』


    初めてあった時から、飄々とした掴み所のない人だと思った。その視線の先を目にしているものを知りたくて、こちらは必死で背中を追いかけているのに、近づけば近づくだけ遠ざかる気がした。ちゃんとしてなくてヘラヘラ笑って、そのくせ放って置こうと目を離したらもう二度と捕まえられなくなるような。
    夢見月*お題bot(@neko_soragoto)『浮雲のように漂う』


    夏ももう終わりね、なんて長い睫毛を伏せてぱちぱち弾ける線香花火を見つめる君。惜しむと言うには何もなかった季節を象徴するそれは、去年買ったきり押入れに突っ込まれていたせいで少し湿気ているようだ。冷たくなった風がその未練を攫うように火玉を払う。
    #花火・睫毛・風で文を作ると好みがわかる


    映画で憧れてたの、と瞳を輝かせながら、少女は両手で掬い上げた泡をふうと吹いてみせた。バスタブいっぱいの甘ったるいそれに歓声を上げる呑気さに溜息をつく。やれやれ、命狙われてるくせに緊張感が足りない。咎める苦言を吐こうとしたら洗面器が飛んで来た。
    #泡・瞳・少女で文を作ると好みがわかる


    疑わしきは罰せず、なんて言うと思ったか? 確たる物的証拠、状況、動機、そんなものがなくても寧ろ、お前以外の人間を疑う余地がない。何よりその目、その目は人を殺した奴の目だ。昏い昏い虚ろの穴。獣は同じ獣の臭いが解る。白金と橡じゃ、同じ灰色でも随分度合いが違うだろう? そう言うことだ。
    青色狂気(お題bot)(@odai_mzekaki)『灰色の裁き』


    引退するよ、と君から告げられた時、あまり驚かなかった自分に驚いた。そりゃいつかは退き際を決めなきゃいけないとは言え、君はずっと最前線で走り続ける気がしていたから。それでも怪我や病気や戦力外通告で泣く泣く去る多くの背中を見て来たからか、自らその場を降りるのは実に君らしいと思った。
    創作お題bot(@LoveTitleBot)『それぞれの終止符』


    素顔は知らない。本名も、住んでいるところも、年齢も性別も。画面越しのふざけたやり取りだけで、そもそも君がちゃんと実在しているかどうかすら確かではないけれど、何となく僕は知っている。お互い喉元に切っ先を銃口を突きつけ合う、ひりついたこの距離では足りなくて、その脈動する魂を見るために
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『君とはいつか会える気がする』


    奴が現れた戦は、とかく終わりが早いらしい。あんなに目立つ風体で、押し寄せる敵軍をバタバタと討ち取るくせに、相手の弾は掠りもしないってんだからいっそ可哀想なくらいさ。味方につけば常勝の軍神でも、奴に憑いてるのは悪魔だろう、なんて。血染めのずきんで正体不明、探そうなんてしないこった。
    創作お題bot(@sousaku_Kotoba)『戦場の赤ずきん』


    早く捨てるべきだ、と理解はしている。眺めたところでその日に帰れる訳ではない。色鮮やかな時代に戻れる訳でもない。後悔、したことはないが、もしあの時違う選択をしていたら、お前は今もこうして俺の隣で笑っていたのだろうか? 現状不満はないはずなのに、と褪せた写真をまた机の奥にしまい込む。
    僕と君、俺とあんた(@odai_you_i)『その行為の名は未練』


    夜の匂いがするよ、と君はすん、と鼻を鳴らして立ち止まった。まだ太陽は空高く昇っていると言うのに。瞬きを忘れたような双眸は何を察知したのか一点のみを見つめている。来る、と呟きがこぼれたのと、石を落とした水面のように空間が歪んだのはほぼ同時だった。
    #君・空・夜で文を作ると好みがわかる


    裏切り謀り利用して、己が生きるためなら親兄弟も同胞も恋人も平気でハメる。舌先三寸口八丁、言った者勝ち騙した者勝ち。何が本当で何が嘘か、そんなことはどうでもいい。信じたお人好しが馬鹿を見るが常の世。なのに、どうしてどうしておいらを信じた。あんたのそう言うところが、心底嫌いだったよ。
    お題bot@GHQ!!(@GHQkitakubu)『嘘つき狐の最期の言葉』


    突っ走る勢いのある奴が必要なんだ。ひたすらに希望やら未来やら、キラキラしたものを疑わずに見つめていられる奴が。その真っ直ぐさが純粋さがたくさんの奴を惹きつけて、成すための力になる。無茶しないためのブレーキも、降りかかる面倒事も、僕に任せていりゃいい。尻拭いも援護射撃も慣れてるよ。
    無音(お題bot)(@nothing_glass)『君は前だけ向いてりゃいいんだ。僕は君のうしろを守るから。』


    言葉に出来ない秘めた想いは、胸に巣食って芽吹くと言う。それが成就するまで花弁として口から溢れる、なんてそんな綺麗なものじゃない。喉裏に貼りつき、気管を塞いで惨めったらしい。堪え切れずに吐き出す淡い色合いのそれを、ぐしゃりと握り潰す。言うもんか。言えるもんか。お前を好きだ、なんて。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『嘔吐される花に噎せてばかりいる』


    私はもう往くよ、と声ではない言葉が届く真夜中の改札。夏がもう終わってしまうからね。寂しくなるなと呟けば、また次の季節に来るさ、とクジラは歌うように笑った。夏限定の僕の友達。それじゃあまた、大きな身体がざぶり空気の波を蹴立てて踊るようにうねり、夜の闇に溶ける。残ったのは碧の泡のみ。
    お題bot*(@0daib0t)『改札、くじら、碧の泡』


    お前なんか好きじゃねえ、とか俺に構う暇あるなら精進しろ、とか。天邪鬼な口は勝手に想いとは裏腹の言葉をお前に投げつける。せめて言い方くらい柔らかくあればいいものを、普段から優しさとは程遠い罵詈雑言の嵐に我ながらほとほと呆れる。なあ、違うんだよ。お前にそんな顔をして欲しい訳じゃない。
    孤独症候群@お題bot(@s___syndrome)『なぜこの口は心無い言葉を吐くのか #お題』


    どうせならもっとロマンティックな感じがよかったなぁ、なんてこの男は私に一体何を期待しているのだろうか? 人並みのキャッキャウフフがしたいなら、他所を当たって今すぐ足を洗えばいいのに、とコーヒーチェーン店紙袋入りの物騒な得物を押しつける。君がいいのに、と言いたげな眼差しは無視した。
    君が欲しい@お題bot(@taki_checha)『七夕に逢瀬。織姫と彦星ほどの綺麗な話じゃないけれど。』


    誰も僕を疑ったりなんかしなかった。頭のイカれた可哀想な子だと思って、誰も僕が全部知っているなんて思いもしなかったんだろうね。警戒もせず重要なことを喋り、無用心に扉を開け、背中を見せて、丸腰で。最初から出来る訳ないって容疑者から外しただろう? 本当馬鹿だよねえ、気づいた君も含めて。
    お題bot@烏合(@bot_crowd)『愚者の真似事』


    帰る場所はもうどこにもない。守るべきものも何一つない。燃え盛るかつての我が家を丘の上から見下ろして、腰に佩いた刀の柄をぎゅぅと握り締める。愚かだと、他人は嗤うだろうか。無駄だ止めろと、袖を引くだろうか。それでもあの穏やかな日々をここに埋めて、無邪気で無力な自分を捨てて、征かねば。
    バルキュリアの囁き(お題bot)(@blwisper)『もう戻らないと諦めにも似た覚悟がひとつ』


    煌々と輝く船はたくさんの夢を乗せて、今日も深い夜の闇を往く。何も怖くないよ。恐れることはないよ。瞬く星を掻き分けて、見えぬ明日を探しに行こう。どんな波が行手を阻もうとも、独りじゃないから。遠い遠い道のりも、歌って踊って進んで行こう。例えその先に待っているものが、希望ではなくとも。
    夜の創作お題bot(@odaiibot)『月の船で夜を渡る』


    いつも気遣いなんてしないし、言葉も口調も投げつけるように乱暴で歯に衣着せぬくせに、こんな時だけ穏やかな物言いをしないで。顔見られたくないんだから、傍に来ないで。慰める、なんて似合わないのよ。好きでもないのにそっと置かれたカフェラテの温かさと甘さが、弱った心にじわじわと沁みて行く。
    伽藍お題bot(@garanbot)『あなたの優しさは狡い』


    ザ、ザー……イヤホンからこぼれるラジオノイズは波の音。遠い街の灯りはきらきら光る水面に似ている。眼下の景色を見ている時だけ呼吸出来る僕は、深海魚のように鰓がついているに違いない。夜闇は優しい。静かに僕を包んで否定しない。泳げ、泳げ。ひっそりと底を。この時間だけの自由な世界を一人。
    眼差しで破壊//お題bot(@goodbye_my_tear)『よるはうみ』


    「ここでいい子で待っていてね」滅多に買ってもらえないアイスクリームを渡されて、珍しくにこにこ笑っているあなたを見て、漠然とああ終わったと思ってしまったのは、子供独特の生存本能みたいなものだろう。だからと言って頷く以外の選択肢はなく、泣いて縋って許しを請うほど愚かにもなれなかった。
    お題bot(@tokinagare)『あなたが私を置いていってしまうことは分かってた』
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