毎度思うんですけど、とグラスを伝う雫を指先で拭いながら君は言う。何で酔ってる時にそう言うこと言うんですか、と憤慨するのも解るよ。俺だって逆の立場ならそんな戯言信じたりしない。けれどこんな時でもなけりゃ言えない想いもあるんだよ。だってNOと言われたら、明日からどんな顔すりゃいいの?
    夕に散る@お題bot(@odai_yuu)『酔いに混ぜて吐き出した本音は』


    君の計画は完璧だった。つけ入る隙など微塵もない、美しい芸術と言ってもいいものだった。天賦の才と言うものは本当にあるんだと、心から感嘆したよ。なのにどうしてそれが破綻して、今君が地面に転がされているかって? それは君、裏切るより前に仲間ではないこの僕を信頼して組み込んでいたからさ。
    蝋梅bot(お題)(@roubaititle)『たったひとつの綻び』


    ようこそ、歓迎するよ。目の前に差し出されたグラスの中で、かろりと氷が身動ぎをする。これを飲めばもう後戻りは出来ない。交わした盃は血よりも濃い。帰るなら今の内だと値踏みする視線を振り払うように、一気に透明な液体を呷る。滑り落ちて喉を焼くような灼熱に、破落戸の烙印を押された気がした。
    【お題】タイトルあげるbot(@littlelittlebot)『アウトサイダー・ジンロック』


    昔は煙草吸ってたんだけどね、今はいろいろうるさいから。そう言って彼がポケットから取り出したのはカラフルなロリポップ。死ぬほど似合わない、と嗤うとだって口寂しいのよ、と伸びて来る手。性質が悪いなと弾いた指先からこぼれたイチゴ味のキャンディを受け取る。子供じゃあるまいに騙されないよ。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『慰めの飴。』


    何にせよ、不幸な事故はある訳で、万事塞翁が馬な時ほど身の回りには気を配っておくべきだと思うわ。車のブレーキが壊れているかもしれないし、食べ物に何か入っているかもしれないし。敵を作らずに生きて行くって、本当に大変。どこで恨みを買うか解らないものね。例え本人に欠片もその気がなくても。
    ❁お題bot❁(@xxxodaibotxxx)『弔辞、考えておかないと』


    結局は好きなのよね、とカメラを構えながらきみは笑う。四角く切り取られるこの世界の欠片。きみが見た景色の欠片。それは必ずしも綺麗な訳ではないはずなのに、とかく何より美しい。ああ、きみの目には世界がこんな風に見えているのか、と愛おしさすら募る色彩と明暗。きみが生きていた笑っていた証。
    お題bot*(@0daib0t)『きみの世界が美しい理由』


    奪った命は数知れず、犯した罪も両手指を超えたところで解らなくなった。世が世である故、と言い訳するのも烏滸がましい。ヒトであることが間違いの人でなし一匹、同じ臭いの獣と相見えてくたばるが道理と言うもの。貴方はまだ他を屠って、咎を負って生きますか。ならばいつか、ろくでなしの奇縁にて
    森の奥@創作お題(@mori_odai)『地獄で再会しましょう』


    気づかれてはならない。悟られてはならない。知られてはならない。あくまで自分の意志で選び行い成したのだと、思い誇り胸を張ってもらわなければ。掌上で踊る無様さを嗤うな? いやいやとんでもない、私は私に成せぬことを彼にやってもらうだけだ。君、人は誰しも向き不向きというものがあるのだよ。
    scaldお題bot(@_scald_)『名も無き陰謀』


    『元気にしてますか?』君から届いた初めての手紙は、そんな素っ気ない一言だけが書かれた絵葉書。寂しい、なんて想ってる自分が酷く器の小さな男な気がして文句も言えやしない。遠い今君がいる国の空は澄んで高く、繋がっていると言うにはあまりにも頼りなくて。
    #君・空・手で文を作ると好みがわかる


    正義の反対は悪ではない。また別の誰かの正義だと、言った誰かは恐らく正しい。互いに突きつけ合った銃口越し、こんな皮肉があるものかと己を呪う。あの日助けた少年は、いつかボクもみんなを守れるように強くなりたいと笑った。その言葉通り、隔てた年月分お前はお前の正義を掲げて生きて来ただろう。
    お題bot@烏合(@bot_crowd)『いずれかの地獄にて』


    はぐれないように、と繋ぐ手も小さ過ぎて、しっかと握れるのはこちらの指二本だけ。おぶるよ、と提案しても首は嫌だと横に振られる。ほんのそこまでの距離でも、君にとっては広い世界の大冒険なんだろう。まだ拙い足取りを支えながら、君に合わせて歩いて行く。気づかなかった幸せが見えたみたいだ。
    赤薔薇お題bot(@akabarabot)『俺の隣の小さな歩幅』


    惨めたらしく地面に落ちて、踏み躙られ泥で汚れて朽ちて行く無様な姿は、見とうないのです。薄っすらと笑みを浮かべながら、貴方はそう私の胸に突き立てた刃を抜いた。それに誰かに手折られるのも我慢なりません。だからどうか、私の掌中で果てて全てを下さいませ。恍惚の吐息をこぼしたのはどちらか。
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『愛は椿の首を落とす』


    とにかく、やること成すことその全てが気に食わない相手と言うものは、本当にいるのだと、お前と遭ってしみじみ理解した。顔がムカつく、喋り方が苛つく、無茶苦茶やるくせに慕われているのが腹立つ。何よりも見据える先が、願う想いが、密かに抱えた曲げぬ魂が、俺と似ていてひどく心地良いなんて。
    宵闇の祷りお題bot(@yoiyami_inori)『犬猿の仲』


    近くまで来たから、と言う嘘は多分バレている。手土産に渡したケーキの箱はこの辺りにある店ではないから。それでも、バカみたいな口実を作らないとここを訪れる理由を持たない俺にだって、君を心配するくらいは許して欲しい。上がってお茶淹れるよ、と踵を返した横顔が少し綻んでいたことに安心する。
    きみとわたしと(お題bot)(@kimito_odai)『用事はないけど顔を見たかった』


    誰かが言ってた、ビジネスマンのスーツは戦闘服だって。センスもランクも全面に押し出して、相手を威圧するんだ、と。それを言うなら、このセーラー服も私にとっては戦闘服。限られた期間の付加価値を、最大限に釣り上げる。着崩すなんてとんでもない。新雪の無垢を土足で踏み荒らすのがお好きでしょ?
    伽藍お題bot(@garanbot)『セーラー服が戦闘服』


    白い柔肌にゆっくりと歯を立てる。こんな時でもなければ、痛いと怒られたことだろう。でもさ、ちゃんとみんなには知って欲しいんだよ。君が無防備な姿を許す相手が誰なのか、君は誰のものなのか。嫉妬や独占欲は見苦しいなんて言わないで。俺のだよ、って主張しないとウチではいつも横取りされたから。
    お題のようなちがうような(お題bot)(@odaimdkbot)『噛み跡は所有印』


    キス、って言うのが何か恥ずかしいから、とお前は言う。何でもない時に袖を引かれるのも、頑張ったでしょと上目遣いにねだられるのも随分慣れて、ドキドキするより愛おしさがじわりと滲む。俺も大概好きだなんて口にしないから、代わりに額に頬に口唇に、請われるまま想いを刻む。ほら、今日もまた、
    創作お題bot(@sousaku_Kotoba)『ちゅーして』


    何度寝返りを打ったか、いまいちしっくり来る姿勢と場所を見つけられずに数時間、日付はとうの昔に変わっている。諦めて起きていようかとスマフォに手を伸ばしたところで、かちゃりとドアが開いた。まだ起きてたの?と驚いたような反応に、ああそうかお前がいなきゃ眠れるはずもなかったと抱き寄せる。
    蝋梅bot(お題)(@roubaititle)『眠りにつく体温』


    簡単に私に堕ちる貴方なんて魅力的じゃない。跪いて私の愛を請う男なんて、いくらでも他にいるもの。大事になんてしなくていい。優しくなんてしなくていい。けれど、隣に立つのは背中を任せるのは貴方だけなの忘れないでちょうだい。さあ、バカ言うなって銃を手にして。いつかその先を私に向けるまで。
    飴玉お題bot(@odai_amedamabot)『「愛してる?」「愛してないよ」』


    「神などいない」次弾を装填しながら男は煙草を燻らせる。そんなものに縋ってもこの場を切り抜けられはしない、とその身一つで修羅場を潜って来た背中は冷静だった。「現実で何かを成すのはいつも人だ」確かなものは己の腕と相棒のみのビルの荒野。風の中響く渇いた咆哮を細い三日月だけが聞いている。
    【お題】タイトルあげるbot(@littlelittlebot)『無神論とピストル』


    この世界は醜い、と言い切ってしまうのは尚早で、全てがすべからく汚れている訳でもない。まだきれいなものはあるよ。救うべきものは、守るべきものは、ここに残っているよ。跡形もなく壊して消してしまうには、あまりに惜しいものたちが。だからまだ絶望するのは諦めてしまうのは、どうかと思うのさ。
    ぽつぽつ(お題bot)(@potsuri200)『世界は ときどき 美しい』


    こうして対峙することは運命だったのか、どこかでボタンをかけ違えたのか、とかく誰か他の者の手にかかってくれるなと言うどうしようもない願いだけは叶えてくれるらしい。何故と問うのも虚しかろう。ただ歩むべき道が分たれたのだ。ならばせめて互いを貫く切っ先を見届け、ひそり最期の吐息を聴こう。
    創作お題bot(@sousakuODAI)『得物を掲げ刃を向けて、僕は愛する人を討つ #創作 #お題』


    行こうか、と当たり前のように右手を奪われて、ぶわりと内側からいろんなものがこぼれ出しそうだった。きっと貴方にとってはこのくらい、何気ないことなんだろう。浮かれて心臓が飛び出しそうなのはあたしだけだ。汗ばむ掌に気づかれませんように。今日くらい可愛くキレイに、貴方の隣に立っていたい。
    お題bot*(@0daib0t)『汗ばむ、内側、あたしだけ』


    腹が減ってる時に食べる方が美味いに決まっている、誰かに取られるのも嫌だし、と言う貴方と最後の最後一等の幸せに浸って終わりたい私と。思えば重なるところは何一つなかった。それでも上手く行っていたのだ、あの日貴方が彼を殺すまでは。お気に入りは誰にもやらないって言ったろ、そう嗤いながら。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『好きなものの食べ方。』


    ハッピーバースデー、今日は僕の誕生日。火のついた蝋燭を吹き消してお祝いしてよ。ケーキを切り分ける相手はもういないから、全部独り占め。血に濡れた包丁をフォーク代わりに突き立てて口いっぱいに頬張る。三日ぶりの食事には物足りないけど、ハローニューワールド。殺人鬼として新たな門出に乾杯。
    青色狂気(お題bot)(@odai_mzekaki)『ケーキと包丁と蝋燭と』


    いつも、何と書こうか迷った末に真っ白なままの便箋を封筒に入れてしまう。元気にしてますか、こちらは相変わらずです。なんて伝えるのも、どんな言葉を紡いでも、何かが違う気がして。メールでもメッセでも電話でもなく、少しの時間を経て君に届く想いを無粋にしたくなくて、今日もポストへ投げる。
    秋桜お題bot(@cosmosno)『白紙の手紙』


    躊躇はなかったように思う。無防備に眠るその胸へ刃を突き立てる瞬間、憎悪とか後悔とか、それまで抱いていたはずの感情がきれいに消え去って、小さな衝撃と感触が掌に返って来たことだけは未だに覚えている。位置に自信はなかったけど、あいつは声も立てずに絶命した。じわじわ滲む赤が目に痛かった。
    無音(お題bot)(@nothing_glass)『初めて人を刺した日』


    お前が死ねばよかったのに、と面と向かって言われたことはない。けれど、会う人会う人誰も彼ものその目が、如実にそう物語る。無能で愚鈍なお前ではなく、何故彼が死なねばならなかったのか、と。なあ、助けてなんて言わなかった。守ってくれとも言わなかった。何で、どうして、俺なんかを庇ったんだ。
    揺蕩う言葉@お題bot(@tayutau_kotoba)『生き残った絶望』


    予告もなくぶっ放された弾丸が、鼻先ほんの数ミリを掠めて行く。俺だから躱せたんだぞ、せめて先に何か言えよ。お返しとばかりに切っ先で貫いたのは、その背後に迫っていた男の胸。飛沫く血泉に眉一つ動かさず、にやりと笑う。「腕鈍ってなくて安心したよ」「こっちの台詞だ馬鹿野郎」背中を預けいざ、
    赤薔薇お題bot(@akabarabot)『相変わらずな相棒へ』


    満足しましたか、と背後で静かな声が聞こえた。私は振り向くことも出来ず、目の前に広がる今まで世界を構築していたはずの欠片を、茫然と見遣ることしか出来ない。先程までの出来事は、過ごした楽しい日々の想い出は、みんなみんな夢だったのか。今後の現実は辛いでしょうに、と嗤うお前はあの時の、
    創作お題bot@理想幻論(@asama_sousaku)『長くて幸せな、夢』


    感謝して欲しいくらいだよ、とオーバーな仕草で両手を広げ、彼は嗤った。生きてたって大して役に立たない、価値も意味もない君が、今この瞬間最高に有意義だった。最期に一花咲かせられただけよかったじゃないか、なんて。何だよ畜生、それはただ単に、お前にとって都合がよかっただけの話じゃないか。
    お題bot(@odai_bot00)『君の有効利用法』


    助かった、と心底安堵したように手を差し出された時、愛してると言われるより深い喜びが私の身体を貫いた。そうだ、私は剣を手放せなかった。この場に立つことを譲れなかった。淑やかであれとの言葉を放り投げ、只管研鑽に費やした日々を、強くあることをあなたが認めてくれるなら、他に何も要らない。
    『一人遊び。』お題bot(@hitoriasobi_bot)『「あなたの隣を夢見た時期もあったけど、今は背中で良かったって思えるの」』
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